高松から車で30分も走ると、急に空気が変わる。 潮の匂いが濃くなって、道が細くなって、海が近くなる。 庵治半島は、そういう場所だ。 ここに来ると、自分が「観光客」であることを忘れる。 石と海と、漁師たちの時間が、今もそのまま残っている。
庵治半島のおすすめスポット
庵治石の採石場|音と粉塵の向こうに、静かな美しさがある
山肌に白い傷跡のように刻まれた採石場。
最初に見たとき、正直、怖い。
庵治石は「花崗岩の最高峰」と呼ばれる。
墓石の世界で、その名前を知らない人はいない。
でも実際に採石現場を前にすると、そんな言葉がすべて吹き飛ぶ。
ごつごつした石の表面に、陽が当たる。
角度によって、青みがかって見える。
「みかげ石の中のダイヤ」という表現を聞いたことがある。
現地に来て、初めて意味がわかった。
採石場への立ち入りは基本的に不可だが、道路沿いから全体を見渡せる場所がある。
午前中の光が一番きれいだ。
10時ごろがおすすめだ。
石を切り出す機械音が遠くから聞こえてくる。
その音が、なぜか心地よかった。
近くに庵治石を使った工芸品を扱う工房もある。
500円〜2,000円くらいで小物も売っている。
旅の土産として、あの重さがいい。
庵治漁港|朝6時。漁師の一日が、もう半分終わっている
泊まった宿のオーナーに言われた。
「港に行くなら6時には着いてください」と。
行ってみてわかった。
6時の段階で、すでに漁師たちの仕事は折り返しを過ぎている。
水揚げされた魚が、次々と仕分けされていく。
イカ、タコ、サワラ。
名前のわからない魚も何種類かあった。
漁港の朝は、静かで速い。
怒鳴り声もない。
余計な言葉もない。
ただ手が動いている。
観光地然としたものは何もない。
でも、目が離せない。
午前8時を過ぎると、作業はほぼ終わっている。
入れ替わるように、地元のおばあさんたちが堤防に座り始める。
ただ海を見ている。
そこに混じって、1時間ほど過ごした。
何も起きないのに、いい時間だ。
港の近くに小さな食堂が1軒ある。
昼から営業で、定食が850円。
魚がとにかく新鮮だ。
出汁の香りが今も思い出せる。
八栗寺|ケーブルカーの先に、空と海が広がっている
四国八十八ヶ所の第85番札所。
お遍路の文脈で語られることが多いが、別にお遍路でなくてもいい。
あの山の上には、誰でも行っていい。
ケーブルカーで約4分。
大人は往復840円。
朝9時の始発に乗るとほぼ貸し切り状態だ。
山頂に着いた瞬間、振り返ると海が見える。
瀬戸内の島々が、霞の向こうにいくつも浮かんでいる。
これが見たかった、と思う前に、もうそこにあった。
境内は思ったより広い。
五つの社殿が点在していて、全部回ると40分くらいかかる。
朝は空気が澄んでいて、ろうそくの煙がまっすぐ上に伸びている。
お遍路さんが静かに手を合わせている隣で、こっちはただ海を眺めている。
それでもなぜか、居心地がよかった。
怒られる感じがしない。
ケーブルカーの最終は17時15分。
夕方近くに乗ると、光の色がまったく違う。
時間に余裕があれば、2回乗っても損はない。
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庵治半島への行き方
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