石段、1368段。 それが琴平の全てではないけれど、 それがこの町の核心でもある。 急ぐ必要はない。 息を切らして登って、振り返った先の景色が、 なぜかずっと頭に残っている。 門前町の甘い醤油の匂い、石段脇の土産屋のざわめき。 琴平は、ただの観光地じゃない。 ここには、長い時間をかけて積み重なってきた空気がある。
琴平のおすすめスポット
金刀比羅宮|1368段、息が切れても登りたくなる理由
朝8時に石段の前に立った。
まだ人が少ない時間帯を狙ったのは正解だ。
最初の200段はなだらかで、油断する。
300段を超えたあたりから、ふくらはぎに来る。
途中にある大門(365段)をくぐると空気が変わる気がした。
境内に入った感覚、というより、
別の時間軸に足を踏み入れた感覚。
御本宮(785段)に着いた瞬間、眼下に讃岐平野が広がった。
山並みが霞んで、遠くに海が見える。
あの景色のためだけでも、登る価値がある。
奥社まで行くなら往復2時間は見ておきたい。
白峰神社(奥社)は1368段。
ここまで来る人はぐっと減る。
その静けさが、また良かった。
表書院|狩野派の襖絵が、思ったより近かった
金刀比羅宮の境内、大門をくぐった先にある。
参拝者のほとんどが素通りしていくのが不思議だ。
入場料は800円。
払ってよかった、と中に入って思った。
江戸時代に建てられた書院建築で、
円山応挙の作と伝わる虎の襖絵がある。
ガラスケース越しじゃない。
畳に座って、目の前で見る。
その距離が異常に近くて、少し戸惑った。
ガイドのおじさんが丁寧に説明してくれて、
「この虎、目が金箔なんですよ」と教えてもらった。
言われて初めて気づく。
そういう発見が、ここには多い。
建物自体も静かで美しく、境内の中でここだけ時間がゆっくり流れている。
30分あれば十分見られる。
石段を登る前に立ち寄るのがおすすめ。
旧金毘羅大芝居(金丸座)|江戸の芝居小屋が、そのまま残っている
石段を登らない日があるなら、ここに来てほしい。
1835年に建てられた芝居小屋で、
現存する日本最古の芝居小屋といわれている。
中に入ると、木の匂いがした。
天井から吊るされた提灯。
花道。回り舞台の仕掛け。
ぜんぶ本物がそのまま残っている。
スタッフの方が舞台の奈落まで見せてくれた。
手動で回す舞台の仕組みを実演してくれて、
その地道さに笑ってしまった。
毎年4月に「四国こんぴら歌舞伎大芝居」が行われる。
チケットは争奪戦で、取れたら相当ラッキーらしい。
普段でも入場料500円で中を見学できる。
観光地化されすぎていない雰囲気が心地よかった。
1時間あれば、十分堪能できる場所。
こんぴら表参道|石段の下で、うどんと醤油と時間が溶けていく
石段の麓、表参道の商店街。
ここが好きで、何度も往復した。
土産屋、うどん屋、べっこう飴を売るおじさん。
歩くたびに何かに目が止まる。
昼は必ず「打ち込みうどん」を食べた。
だしが濃くて、根菜がごろごろ入っていて、
体に染みる味だ。850円。
帰りに「灸まん」を買って帰った。
あんこが詰まった小さなお菓子で、
見た目がおもしろい。
食べてみたら素直においしかった。
夕方になると人が減って、石畳が静かになる。
閉まりかけた土産屋の前でぼんやりしていたら、
お店のおばあさんに話しかけられた。
「今日、何段まで登ったの?」
その一言で、町が急に親しみやすくなった気がした。
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