高知市から車で2時間。 たどり着いた先は、日本とは思えない景色だ。 黒潮にけずられた岩、空と海の境界線がぼやけるほどの青。 室戸は「観光地」という言葉が似合わない場所だ。 なにかに呼ばれた人だけが、ここに来る気がした。
高知県東端に突き出た太平洋岸のエリア。岬の先端に立つと、黒く磨かれた岩肌に白波が砕け、遮るもののない水平線が一気に視界を埋め尽くす。急な石段を上った標高約150mの高台には四国八十八ヶ所霊場第24番札所の最御崎寺が立ち、遍路の空気が漂う。乱礁遊歩道は隆起した奇岩が連なる海辺の道で、太平洋の荒々しさを体で受けながら歩く。岬周辺にコンビニはない。飲み物と軽食は事前に用意したい。公共交通は少なく、現地の移動には車が基本だ。大阪から約3時間35分で高知駅に着き、そこを起点に向かう。夕刻、港町の食堂に灯りがともる頃。
室戸のおすすめスポット
室戸岬|黒潮が削った、地球の断面
駐車場に車を停めた瞬間、風が全身にぶつかってきた。
潮の匂いではなく、もっと原始的な匂い。
岩の匂い、とでも言えばいいのか。
室戸岬の先端まで歩いて約10分。
その道中に広がるのは、教科書で見た「地層」の本物だ。
はるか昔に海底だった岩が隆起して、いまここに立っている。
そう思うと足がすくんだ。
灯台は1899年初点灯。
高さは15メートルと小ぶりだけど、存在感は圧倒的だ。
足元の岩が波に打たれるたびに、地面が震える気がした。
観光客は思ったより少ない。
売店のおじさんが「今日は風が穏やかなほうよ」と笑っている。
穏やかで、これか。
冬に来たらどうなるんだろう。
最御崎寺|岬の突端に、静けさが積み重なっている
室戸岬の先端から、急な石段を上る。
四国八十八ヶ所霊場の第24番札所、最御崎寺だ。
標高約150メートル。
息を切らして上り切ると、空気がまるで変わった。
境内に入ると、白衣のお遍路さんが2人、黙々と歩いている。
この場所で、ずっと前から同じことが繰り返されてきた。
そのことに、妙な安心感を覚えた。
弘法大師が19歳のとき、この洞窟で修行したとされる。
「御厨人窟(みくろど)」と呼ばれる岩屋が近くにあって、
そこから見える空と海だけの景色が、
大師の法号「空海」の由来だという。
本当かどうか確かめる術はないけれど、
ここに来ると、その話を信じたくなる。
境内は静かで、波の音だけが遠くから聞こえる。
拝観は無料。
朝7時から開いている。
乱礁遊歩道|歩くというより、岩と交渉する道
「遊歩道」という名前に油断しないほうがいい。
室戸岬の北側、約1.2キロにわたって続くこの道は、
ほぼ岩の上を歩く道だ。
ゴツゴツした玄武岩、白い石灰岩、赤い岩。
色も形も違う岩が混在していて、
歩きながら「これ全部、海の底にあったのか」と何度も立ち止まった。
波が穏やかな日は、タイドプールに魚やヤドカリが見える。
子どもが一人、夢中で岩をのぞきこんでいた。
その気持ち、よくわかった。
所要時間は片道30〜40分。
スニーカーでは滑るので、グリップのある靴が必要だ。
サンダルは論外。
ゴールの「むろと廃校水族館」まで歩けば、
廃校した小学校をそのまま使った水族館が待っている。
プールにサメが泳いでいた。
それだけで、来た甲斐がある。
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室戸への行き方
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