船が着くかどうか、前日まで分からない。 それが青ヶ島という島だ。 東京から南へ358km。 定期船の就航率は約50〜60%。 ヘリは1日1便、9席のみ。 たどり着くだけで、すでに何かを乗り越えた気分になる。 でも、その先に待っているものは、他のどこにもない。
青ヶ島のおすすめスポット
丸山(二重カルデラ)|この星にいるのか、疑いたくなる景色
カルデラの縁から中を覗いた瞬間、言葉が出ない。
外輪山の中に、さらに丸山が盛り上がっている。
二重のカルデラ。
直径約1.5km。
そんな数字より、目の前の光景の方がずっとリアルだ。
遊歩道を歩くと、足元に火山性の熱気を感じる。
土が、生きている。
展望台まで上ると、外輪山の向こうに海が広がった。
島の外周はわずか9km。
そのちっぽけな島の中に、こんな地形が収まっている。
ハイキングコースは整備されているけれど、急勾配な箇所も多い。
トレッキングシューズは必須。
夏は草が茂り、虫も多い。
朝7時頃に入ると、霧がカルデラを満たして幻想的だ。
「なんでこんな場所に人が住んでるんだろう」
そう思いながら歩いていたら、なんとなく分かってきた。
ここは、美しすぎるから人が離れられないだ。
地熱サウナ|火山の熱で、じわじわと溶けていく
「ふれあいサウナ」という名前が、少し可愛すぎる。
実際に入るまでは。
地熱を利用した蒸し風呂で、料金は200円。
受付で鍵を借りて、カルデラ内の小屋へ向かう。
扉を開けた瞬間、もわっとした熱気が来た。
地面から直接、熱が伝わってくる。
温度計は80〜90℃前後を指している。
サウナというより、地球に蒸されている感覚だ。
外に出ると、カルデラの緑が目に入る。
鳥の声だけが聞こえる。
この熱は火山が作り出したもの。
同じ熱が、かつてこの島を噴火させた。
それを今、自分の肌で受け取っている。
シャワーはない。
タオルと着替えは必ず持参すること。
利用は島民優先なので、混んでいたら少し待つ。
でもその待ち時間も、カルデラの中にいると不思議と気にならない。
青酎|一口飲んで、この島の時間が分かった気がした
青ヶ島の焼酎、「青酎」。
麦や芋ではなく、麦と米麹をベースに島伝来の製法で作られる。
島内に数軒の造り手がいて、それぞれ味が違う。
同じ「青酎」というラベルでも、まったく別の酒だ。
居酒屋「還住」で初めて飲んだとき、思ったより荒々しかった。
癖がある。
でも二杯目には、それが気にならなくなっている。
アルコール度数は25〜40度前後のものまで様々。
島外ではほとんど手に入らない。
ここで飲まないと、もう飲めないだ。
宿のご主人に聞いたら、「造り手によって個性が全然違う」と言った。
利き酒セットを出してくれる店もある。
飲み比べは1セット1,000〜1,500円程度。
翌朝、二日酔いで丸山に登った。
それでも後悔はしない。
青酎はそういう酒だ。