船が港に近づくにつれ、島全体が緑に覆われているのがわかる。 ここは東京から南へ約140km。 でも、そんな数字はすぐに忘れる。 椿の香りと、波の音と、ほとんど誰もいない道。 利島には、そういう静けさがある。
港に降り立った瞬間、静寂が旅人を包む。冬から春、宮塚山の斜面は椿の赤に染まり、搾りたての椿油の青みがかった香りが島の風に混ざる。島全体を椿林が覆う光景は、利島でしか見られない。標高508mの宮塚山に登れば紺碧の太平洋が視界いっぱいに広がり、透明度の高い海では白い波と深いブルーの対比が目に焼きつく。人口300人に満たない孤高の離島だ。玄関口は利島港。竹芝客船ターミナルから高速ジェット船で約2時間の船旅で渡れる。
利島のおすすめスポット
椿林|島全体が、1月から3月だけ甘く匂う
利島の面積の約8割が椿林だと聞いて、最初はピンとこない。
実際に林の中に入って、やっとわかった。
頭上がずっと椿で覆われている。
足元には落ちた赤い花が積もっている。
踏むのがもったいなくて、少し端を歩いた。
島で生産される椿油は年間約3〜4トン。
国内シェアのかなりの割合を占めるらしい。
それだけの量が、この小さな島から出ている。
1月下旬から3月が見頃だ。
午前中に訪れた方がいい。
光が林の中に差し込んで、赤と緑のコントラストが強くなる。
観光客は少ない。
静かすぎて、自分の足音が気になった。
そのくらい、誰もいない。
宮塚山|標高432m、頂上で一人になる感覚
「登山、というほどじゃないよ」と乗船前に言われた。
実際は、なかなかきつかった。
登山口から頂上まで約1時間半。
途中から道が細くなる。
椿の枝が顔に当たる場所もあった。
標高432m。
それほど高くない。
でも、頂上に出た瞬間の景色は別だ。
360度、海。
大島が見える。
新島も見える。
天気がよければ富士山まで見えると地元の人が言っている。
その日は少し霞んでいたけれど、それでも十分だ。
頂上に着いたのは朝9時ごろ。
ほかに誰もいない。
風がずっと吹いている。
30分くらい、ただそこに立っている。
スニーカーでも登れるが、雨の翌日は泥が深い。
長靴があると助かった。
利島港|島の玄関口で、時間の流れが変わる
東京・竹芝桟橋から高速ジェット船で約2時間。
大型船だと約7時間かかる。
どちらにしても、着いた瞬間は同じだ。
港が小さい。
本当に小さい。
商店が1軒、宿が数軒。
それで島の中心部はほぼ全部だ。
驚いたのは、波が高いと船が欠航すること。
利島は外洋に面した港しかない。
うねりに弱い。
実際、1泊の予定が2泊になった人を宿で見かけた。
帰りの船の時間は必ず前日に確認した方がいい。
アプリ「東海汽船」で運航状況がわかる。
港の近くに小さな浜がある。
遊泳禁止ではないが、流れが強い。
足を浸けるくらいがちょうどよかった。
透明度は、信じられないくらい高かった。
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利島への行き方
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宿数が少ないため早めの予約を。
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