フェリーが着く。 港に人はほとんどいない。 静かすぎて、少し不安になるくらい。 粟島は、香川の離島の中でも「知る人ぞ知る」という言葉がよく似合う場所だ。 アートがあって、手紙があって、海がある。 観光地らしくない空気が、かえって忘れられなくなる。
粟島(香川)のおすすめスポット
粟島海洋記念館|日本初の商船学校が、時間ごと残っている
建物に入った瞬間、「あ、これ現役じゃないな」とわかった。
でも、それがいい。
1897年創立。
日本で最初の商船学校がここにあった。
木造の廊下、古い地図、航海に使われた道具。
ガラスケースの中に、誰かの青春が詰まっている気がした。
展示の説明文が、思いのほか読ませる。
ざっくり流すつもりが、気づいたら40分以上いた。
入館料は大人300円。
安い。
これだけのものが残っていて、300円でいい。
館内は広くはないけれど、密度がある。
島の歴史と、海の記憶がここに凝縮されている。
フェリーで来たからこそ、展示の重みが違って感じた。
建物の外に出ると、目の前に海。
しばらく、ぼーっと立ってしまった。
漂流郵便局|届け先のない手紙が、ここに来る
「亡くなった人への手紙も受け付けています」
その一文を読んで、少し動けなくなった。
漂流郵便局は、月に1〜2回だけ開く。
届け先不明の手紙を受け取り、保管する場所。
誰かが書いた、届かないとわかっている言葉たちが棚に並んでいる。
実際に届いた手紙を、許可を得て読める。
読み始めたら止まらない。
泣いている人もいた。
静かに手紙を書いている人もいた。
自分でも、気づいたら便せんを手に取っている。
誰への手紙かは、ここには書かない。
建物は古い郵便局をそのまま使っている。
局長の久保田沙耶さんのアートプロジェクトとして始まった空間。
「観光スポット」という言葉が似合わない。
もっと個人的な場所だ。
開局日は事前にSNSで要確認。
行ける日と開いている日が合うかどうか。
それも含めて、この場所の流儀な気がした。
粟島芸術家村|廃校がアーティストの拠点になっている
廃校になった小学校が、そのまま使われている。
黒板も、木の床も、残っている。
粟島芸術家村は、島内外のアーティストが滞在・制作する場所。
ふらっと入ると、誰かが何かを作っていることがある。
邪魔しないように、でも気になって、少し立ち止まる。
ギャラリースペースには常設の作品もある。
「すごい」より「不思議」が先に来る作品が多かった。
島の空気とセットで見るから、余計にそう感じるだ。
体育館が展示スペースになっていて、天井が高い。
光の入り方が独特で、普通のギャラリーとは全然違う。
ここに住みながら作っている人がいる。
島で生きながら、作り続けている。
そのことが、なぜか少し羨ましかった。
訪問の際は事前に公式サイトで開館日を確認したほうがいい。
展示内容も時期によって変わる。
リピーターが多いのも、それが理由だ。
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粟島(香川)への行き方
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