雲の上に出た瞬間、息をのんだ。 ただの山じゃない。 鳥海山は、東北の人間が「おらほの富士」と呼んで愛し続けてきた場所だ。 標高2,236m。 海から一気に空まで駆け上がるような地形が、ここにしかない景色をつくっている。 夏だけ開く世界がある。
鳥海山のおすすめスポット
鳥海山頂|雲を踏んで、日本海が見える
山頂に着いたのは朝7時ごろだ。
前夜、鉾立の駐車場で車中泊した。
4時起きで歩き始めて、3時間半。
御室(おむろ)小屋を過ぎたあたりから、足元がごつごつした溶岩帯に変わる。
ここが「鳥海山らしい」場所だ。
植物が消えて、岩だけになる。
空が近くなる。
山頂の新山に立ったとき、日本海が一望できる。
晴れていれば、佐渡島まで見えると地元の人から聞いている。
その日は霞んでいて、ぼんやりとした水平線が続いている。
それでも十分すぎるくらいだ。
風が強い。
夏でも山頂付近は10℃を下回ることがある。
フリースを持ってきて正解だ。
7月下旬でも、登山道脇に雪渓が残っている。
アイゼンは不要だったが、軽アイゼンがあると安心だ。
胴腹滝|冷たすぎて、手が痺れた
「胴腹滝」という名前が気になって、立ち寄った。
駐車場から歩いて3分。
あっという間に着く。
でも、着いた瞬間に空気が変わった。
滝というより、岩の「おなか」から水が湧き出ている感じだ。
左右2本の水が、苔むした岩肌を伝って落ちてくる。
その音が、森に染み込んでいく。
水に手を入れた。
冷たすぎて10秒も入れていられない。
年間を通じて8℃前後らしい。
ここは鳥海山の雪解け水が地中に浸透して、数十年かけて湧き出る場所だという。
数十年前の雨が、今ここで出てきている。
そう思ったら、なんだか不思議な気持ちになった。
観光地然としていない。
地元の人がペットボトルを持ってきて水を汲んでいた。
生活の水だ。
そういう場所の方が、ずっと印象に残る。
鉾立展望台|標高1,150m、車で来れてしまう場所
正直に言う。
登山しなくても、ここに来る価値がある。
鉾立(ほこたて)展望台は、ビジターセンターの目の前にある。
駐車場から歩いて5分もかからない。
なのに、眼下に日本海と庄内平野が広がる。
象潟(きさかた)の九十九島が見える。
松島と並び称される景勝地だが、鉾立から見ると全体像がわかる。
そっちの方が感動したくらいだ。
朝イチがいい。
ガスが出る前の、7時前後。
空気が澄んでいて、鳥の声しかしない。
夕方も悪くない。
日本海に沈む夕日を、標高1,150mから見る体験は、ここにしかない。
ただし駐車場は17時ごろには閉まり始めるので注意が必要だ。
ここを起点に、山頂まで登る登山者が多い。
ビジターセンターでトイレと地図を確認してから出発するのがいい。
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鳥海山への行き方
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