福島市は、春になると別の顔を見せる。 山の上には雪が残り、麓では花が咲き乱れる。 その温度差が、この街の春を特別にしている。 吾妻の稜線を眺めながら、花の香りの中を歩いて、夜は温泉で足を伸ばす。 そんな一日が、ここではごく普通に叶ってしまう。
福島のおすすめスポット
吾妻小富士|残雪の白が、春の青空に刺さる
磐梯吾妻スカイラインを車で上がっていくと、急に視界が開ける。
標高1707m。
風が冷たい。
4月下旬でも、周りにはまだ雪が残っている。
吾妻小富士の火口は、歩いて一周できる。
およそ30分。
でも、その30分が濃い。
火口の縁に立つと、内側は深く抉れていて、底が見えない。
外側には福島市街が広がっている。
このギャップが、なんか怖い。
雪うさぎが現れるのは、5月ごろ。
山肌の残雪が、ウサギの形に見える瞬間がある。
それが「福島に春が来たサイン」だと、地元の人が教えてくれた。
スカイラインの通行料は無料。
駐車場も無料。
ただ、冬季閉鎖が4月中旬まで続くことが多いので、開通情報は必ず確認してから向かうこと。
山頂付近の気温は市内より10℃近く低い。
薄手のダウンは必携だ。
花見山公園|個人の畑が、奇跡の花園になっている
最初、地図を見て首をかしげた。
「公園」なのに、入場無料で、個人の土地。
どういうこと?
花見山は、花木農家・阿部家が代々育ててきた花畑を、無料で一般開放している場所だ。
昭和30年代から続いている。
3月下旬から4月中旬が見頃。
梅、桃、レンギョウ、サンシュユ、ボケ、桜。
一度にこれだけの花が咲いているのは、異様なほど美しい。
丘の上まで歩くと、吾妻連峰が見える。
雪をかぶった山と、手前の花畑の組み合わせが、絵みたいで逆に現実感がない。
渋滞がひどいので、車で直接乗り込むのは避けた方がいい。
福島駅東口から無料シャトルバスが出ていて、所要約15分。
花見山周辺の駐車場は1日500円程度。
屋台も出ているので、いか焼きをかじりながら歩いた。
それが正解だ。
飯坂温泉|熱すぎるくらいが、ちょうどいい
福島駅から電車で約20分。
飯坂電車に乗ると、終点が飯坂温泉だ。
レトロな一両編成で、運賃は350円。
飯坂の湯は熱い。
共同浴場の「鯖湖湯」は、源泉かけ流しで45℃前後。
入った瞬間、思わず声が出た。
木造の建物は明治の雰囲気が残っている。
入浴料は200円。
シャンプーや石鹸は置いていない。
タオルと石鹸は自分で持っていくか、近くの売店で買う。
夜の温泉街をぶらぶら歩くと、旅館の明かりと川のせせらぎが混ざって、いい具合に懐かしい気分になる。
夕食は、飯坂名物の「円盤餃子」を食べた。
フライパンいっぱいに並んだ餃子が、円形に焼き上がって出てくる。
1人前30個で750円ほど。
皮が薄くてパリパリ。
福島市内にも同系列の店が多いけど、飯坂で食べる方が気分が出る。
温泉の後に食べると、特に旨い。