栃木県河内郡上三川町。 地図で見ると、ただの田んぼの中に小さな林がある。 そこに城があった。 戦国時代、宇都宮氏の一族・多功氏がここで生き、戦った。 観光地化されていない。 案内板も少ない。 それでも、土塁の上に立った瞬間に、何百年も前の風景が重なった。
多功城のおすすめスポット
多功城跡|田んぼの向こうに、土塁だけが残っている
駐車場らしい駐車場はない。
路肩に車を止めて、細い農道を歩く。
5分ほどで木立が見えてくる。
そこが城跡だ。
入口には小さな案内板があった。
読んでから中に入ると、空気が変わる。
木陰に包まれて、急に静かになる。
土塁の高さは思ったより高い。
2〜3メートルはある。
その上を歩くと、周囲の田んぼが一望できる。
平地に作られた城だから、視界が広い。
堀の跡もはっきり残っている。
今は草が生い茂っているが、形は崩れていない。
誰かが管理しているのだろう。
観光客は誰もいない。
静かすぎて、逆に怖いくらい。
でもその静けさが、ここの本質だ。
整備されすぎていない城跡が、こんなにリアルだとは知らない。
城跡の林|15世紀の空気が、ここにまだある
多功城が築かれたのは15世紀ごろとされている。
宇都宮氏の一族・多功氏の居城だ。
戦国時代の争乱の中、何度も戦場になった。
林の中を歩くと、曲輪の跡がわかる。
平らな地面と土塁の繰り返し。
これが防衛ラインだったんだと、頭ではなく足で理解できる。
木の根元に苔が生えている。
踏み込まれていない土の感触がある。
ここ数百年、人が大きく手を加えていない証拠だ。
春は新緑。
秋は落ち葉が堀の跡を埋める。
どの季節に来ても、それぞれの表情がある。
訪れた日は曇りだ。
そのせいか、林の中が薄暗くて、余計に時代を感じた。
晴れた日とは別の顔があるはずだ。
また違う季節に来ようと思いながら帰った。
周辺の農村風景|城跡の外に広がる、本物の栃木
城跡を出ると、視界が一気に開ける。
田んぼが広がる。
遠くに低い山並みが見える。
これが城主が見ていた景色に近いはずだ。
周辺に観光施設はほぼない。
自動販売機も少ない。
飲み物は事前に用意しておいた方がいい。
近くに「多功神社」がある。
歩いて5分もかからない。
多功氏ゆかりの神社とされていて、静かで小さい。
城跡とセットで訪れると、この土地の歴史がつながってくる。
上三川町には他にも城跡がいくつかある。
マニア向けと言えばそうだが、ここは初心者にも来てほしい。
整備されすぎていない城跡の空気は、テーマパークでは絶対に体験できないから。
帰り道、地元のおじさんに「珍しいね、若い人が来るなんて」と言われた。
それが正直、一番印象に残っている。
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多功城への行き方
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