東京から車で約2時間半。 山が迫り、川が鳴り、温泉の湯気がただよう。 四万温泉は「四万の病を癒す湯」という言葉が残る古湯だ。 冬に来ると、人が少ない。 雪をかぶった山と、透明な川と、古い木造旅館が静かにそこにある。 そのひっそり感が、たまらなくいい。
四万温泉のおすすめスポット
積善館|300年前の板の間に、素足で立つ
日本最古の木造湯宿建築、という説明は後でいい。
まず、あの橋を渡った瞬間の話をしたい。
赤い欄干の橋を渡ると、目の前に江戸時代から変わらない正面玄関がある。
あ、ここ見たことある——。
「千と千尋の神隠し」のモデルのひとつとも言われる場所だ。
元禄7年(1694年)創業。
日帰り入浴は800円で、「元禄の湯」に入れる。
タイル張りのアーチ型浴室は昭和初期の建築。
でも、板の間に素足で立った瞬間、時代が混ざる感じがした。
窓の外に川が流れている。
湯は無色透明で、やわらかい。
肌にのせると、するりと溶けるような感触だ。
脱衣所の木のロッカー、くすんだ鏡、高い天井。
ここだけ時間の流れ方が違う。
建物に圧倒されて、湯に癒されて、気づいたら1時間以上いた。
四万川ダム|湖面の色が、嘘みたいに青い
「四万ブルー」という言葉を、現地で初めて知った。
四万川ダムの湖面を見た瞬間、立ち止まった。
青い。
透明なのに、青い。
エメラルドとターコイズの間みたいな色が、冬の空の下に広がっている。
ダムの高さは89.5メートル。
ダムの上を歩いて対岸まで渡れる。
それだけで十分だけど、違った。
冬は空気が澄んでいる分、色がさらに鮮明だ。
周りに人がいなかったのも大きかっただ。
夏なら観光客が並ぶような絶景ポイントに、ひとりで立っている。
駐車場から湖を見下ろせる展望エリアもある。
そこからの角度のほうが、湖面の色がよく見える。
無料で入れる。所要時間は20〜30分あれば十分。
ただし冬は路面凍結することがある。
早朝はとくに気をつけたほうがいい。
甌穴|川底に開いた穴が、何万年もかけてできる
甌穴(おうけつ)という言葉、知らない。
四万温泉の入口付近、日向見川沿いに遊歩道がある。
川の岩場を見ていたら、穴があいている。
丸くて、深くて、ポコポコと並んでいる。
「甌穴」とは、川の流れで小石が同じ場所をぐるぐると回り続けて削った穴のことだ。
できるまでに、何万年もかかる。
じっと見ていると、不思議な気分になる。
人間が生まれるずっと前から、水と石がここで働いている。
冬は水量が落ち着いていて、岩場が見やすかった。
夏は川遊びができる場所でもあるらしいが、冬のほうが岩の形がよく見える。
遊歩道は整備されていて歩きやすい。
ここだけで30分以上ぼーっとしている。
観光名所というより、静かに時間を使える場所だ。
入場無料。駐車場も近くにある。
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四万温泉への行き方
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