関東百名山の中でも、アクセスが異様に悪いことで知られる山がある。 皇海山。標高2144m。 林道が長くて、登山口にたどり着くだけでくたびれる。 それでも、冬の稜線に立ったとき、そんな苦労は全部どこかへ消えた。 雪をかぶった白い山頂から見える景色は、静かで、どこまでも遠かった。
皇海山のおすすめスポット
皇海山|たどり着くまでが、すでに試練だ
不死熊橋登山口まで、舗装されていない林道を約13km走る。
車の底を擦らないか、ひやひやしながらのドライブだ。
冬は路面が凍る。
スタッドレスは必須。というか、それ以外では来てはいけない。
登山口に着いたのは朝7時前。
気温はマイナス8度だ。
手袋を二重にしていても、指先の感覚がすぐになくなっていく。
鋸山を経由して皇海山へ向かうルートは、コースタイムで約8時間。
鎖場が連続する鋸山の岩稜帯は、冬は特に緊張した。
足元が凍っていて、アイゼンなしでは絶対に無理だ。
山頂は樹林帯の中にある。
眺望があるわけじゃない。
それでも、2000mを超えた場所に立っているという事実が、じわじわと効いてくる。
風が止んだ一瞬、静寂だけがあった。
来てよかった、とそのとき初めて思った。
鋸山|岩と鎖と、息が白くなる稜線
皇海山へ向かう途中に越える鋸山は、標高1998m。
名前の通り、ギザギザとした岩峰が連続する。
鎖場は数えると10か所以上あった。
冬は鎖が凍りつく。
グローブで握っても、うまく力が入らないことがある。
焦らないこと。それだけを意識して、一歩一歩登った。
鋸山の山頂から見える皇海山の姿が、ここの一番の報酬だ。
白く雪をまとった山体が、どんと構えている。
まだあそこまで行くのかと思いながら、それでも脚が動いた。
稜線は風が強い。
アウターをフル装備していても、稜線に出ると体感温度が一気に下がる。
休憩は風の当たらない場所を選んだ方がいい。
エネルギー補給を怠ると、後半で本当にきつくなる。
行動食は多めに持っていくこと。これは絶対だ。
不死熊橋登山口|朝の冷気と、静かなスタート地点
林道の終点、不死熊橋のそばに登山口がある。
駐車スペースは10台程度。
冬の平日は、ほかに1台も止まっていない。
橋を渡ると、すぐに針葉樹の森に入る。
朝の光が木々の間から差し込んで、地面の霜がきらきらしている。
こういう瞬間のために登山をしているんだ。
沢沿いの道は、雪が積もると道迷いのリスクがある。
トレースがない場合は、地図とGPSを使いながら慎重に進んだ。
ここで間違えると、引き返しに時間をとられる。
往復のコースタイムは約8〜9時間。
冬は日没が早い。
遅くとも14時には下山を始めたい。
登山口を出発するのは、明るくなってすぐの6時半が理想だ。
帰りの林道も暗くなる前に抜けること。
そこまで計算に入れて、スケジュールを組む必要がある。
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皇海山への行き方
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