嬬恋村の奥、まだ先があったのか。 そう思いながら細い山道を走り続けると、 突然、白い湯気が見えてくる。 標高1000mを超えた場所に、 ひっそりと湯が湧いている。 冬は雪が深く、静寂がすごい。 その静けさの中に、体を沈めるために来た。
細い山道を奥へ進むと、突然白い湯気が視界に現れる。標高1000メートルを超える嬬恋村の奥、深い雪が音を吸い込み、静寂だけが張りつめている。その静けさの中に身体を沈める体験は、ここでしか味わえない。冬は湯に浸かり、部屋でゆっくり過ごす滞在が似合う。足を延ばせば浅間山の噴火が生んだ鬼押出し園の黒い溶岩地帯や、ひんやりとした空気に包まれる溶岩洞穴群など、火山の息吹を五感で感じる見どころが続く。拠点は高崎駅で、二次交通はバス。レンタカーの利用がおすすめだ。
奥嬬恋温泉のおすすめスポット
奥嬬恋温泉|雪の中で、湯だけが熱い
1月に訪れたのは、完全に間違いではない。
道路脇に雪が1メートル近く積み上がっている。
宿の駐車場に車を停めると、空気が刺さるように冷たい。
それでも玄関を開けた瞬間、硫黄のにおいがふわっとした。
ここに来た。
源泉は単純硫黄泉。
温度は約42度、ぬるめに感じるけれど長く浸かれる。
露天風呂から見える景色が圧倒的だ。
白一面の浅間山が、湯気の向こうに見える。
観光客はほぼゼロ。
地元のおじさんが1人、黙って湯に浸かっている。
入浴料は日帰りで600円。
朝10時から夜8時まで開いている。
混んでいたことが一度もない。
それがこの温泉の価値だ。
嬬恋村の冬道|誰もいない、キャベツ畑の残骸
夏は緑のキャベツ畑が広がるらしい。
冬に来ると、その面影が全くない。
茶色と白だけの世界が、どこまでも続いている。
温泉の前後、集落をぶらっと歩いてみた。
コンビニも、カフェも、ない。
農協の直売所は冬季閉鎖中だ。
自動販売機が1台、道の端に立っている。
ホットのコーンスープを買って、外で飲んだ。
130円。体に染みた。
道路標識に「落石注意」とあった。
本当に岩が落ちてきそうな雰囲気だ。
車で走るとき、思わずスピードを落とした。
でも、それがいい。
整備されすぎていない場所に来た感じがした。
ここに「映えスポット」はない。
それが正直ありがたかった。
万座温泉への道|途中で立ち止まる、それでいい
奥嬬恋から車で30分ほど走ると、万座温泉に着く。
そこは観光地として整っている。
ホテルもスキー場もある。
でも奥嬬恋は、その手前で止まる感じ。
あえて「もう少し先」に行かない選択。
それが今回の旅のテーマだ。
帰り道、日没前の16時ごろ、空が紫色になった。
浅間山のシルエットがくっきり見える。
思わず路肩に車を止めた。
5分ほど、ぼんやり眺めた。
写真を撮ったけど、全然伝わらない。
温泉に入って、冷たい空気を吸って、夕焼けを見た。
それだけで、来た意味があった。
群馬の奥地で、そう思えた日だ。
宿の夕食はハクビシン鍋ではなく、普通に豚汁だ。
それもよかった。
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奥嬬恋温泉への行き方
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