川の底から、お湯が湧いている。 岩の間から、もくもくと。 脱衣所もなければ、受付もない。 料金を払う場所すら存在しない。 ただ川がそこにあって、温泉がそこにある。 群馬の山奥、標高約800メートル。 尻焼温泉はそういう場所だ。
尻焼温泉のおすすめスポット
尻焼温泉|川そのものが、露天風呂だ
長野原草津口駅からバスで約40分。
六合(くに)の山あいに入っていく。
川の名前は白砂川。
その川底に、温泉が湧いている。
水温はだいたい40〜42度。
岩に腰を下ろすと、じわじわと温かい。
足元から熱が伝わってくる感覚が、なんとも不思議だ。
「尻焼」という名前はここから来ている。
川の深さは場所によってひざ丈ほど。
浅い場所を選べば長時間浸かれる。
冬に来ると、湯気が白く立ちのぼる。
周りは雪景色。
無音に近い。
スキーリゾートや観光地とは別次元の静けさがある。
水着着用が基本なので忘れずに。
更衣室は川のそばに簡易なものが1棟ある。
駐車場から徒歩5分もかからない。
そのシンプルさが、逆に潔い。
六合温泉郷・周辺の宿|山の宿は、夜がいちばんいい
尻焼温泉の周辺には、小さな宿が点在している。
「尻焼温泉 旅館 花敷の湯」は川から車で5分ほど。
1泊2食付きで1万5千円前後から。
内湯は単純硫黄泉で、透明感のあるお湯だ。
夜は完全に暗い。
街灯もほぼない。
空を見上げると星がうるさいくらいに出ている。
冬の気温はマイナス10度近くまで下がることもある。
宿に戻って熱いお湯に入り直す、あの瞬間が好きだ。
食事は山菜・きのこ・岩魚が中心。
派手さはないが、素材の味がはっきりしている。
夕食後に外へ出た。
雪の上に足跡をつけながら、少し歩いた。
音がない。
それだけで、来た価値がある。
中之条・六合の集落歩き|誰もいない集落に、時間が止まっている
温泉だけで終わらせるのが、もったいない。
六合(くに)は、かつて6つの村が合併してできた地区。
集落の中を歩くと、古い民家が点々とある。
廃屋ではなく、ちゃんと人が住んでいる家だ。
赤岩集落は国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。
茅葺き屋根の家が残っている。
観光地化されていない分、余計にリアルだ。
住民のおじさんに話しかけると、気さくに応じてくれた。
「昔はもっと人がいたんだ」と笑いながら言っている。
集落全体がひっそりしている。
静かというより、時間の流れが違う感じ。
1時間もあれば一周できる小さなエリアだが、なぜかずっといたくなる。
冬は雪が積もって、集落の輪郭がやわらかくなる。
その景色を見るために、また来てもいい。
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尻焼温泉への行き方
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