山の奥に、湯けむりが立ちのぼっている。 群馬の片隅、片品川沿いに静かに佇む老神温泉。 派手さはない。 でも、一度泊まったら忘れられない。 硫黄のにおいが漂う細い路地を歩いていると、時間の感覚がゆっくりほどけていく。 冬に来て正解だった、と心から思った場所だ。
老神温泉のおすすめスポット
老神温泉街|硫黄のにおいと、静かすぎる夕暮れ
温泉街に着いたのは、夕方4時ごろだ。
日はもう傾いている。
川沿いの道を歩くと、あちこちから白い湯けむりが上がっている。
旅館の数は多くない。
コンビニもない。
信号もほぼない。
それが、逆にいい。
老神温泉の泉質は硫黄泉。
源泉温度は約60度で、肌に触れた瞬間、とろりとした感触がある。
「蛇と神様の戦い」に由来する地名という話を、宿の主人から聞いた。
そういうちょっとした話が、温泉地をもっと好きにさせる。
夕食後に外に出ると、街全体が静まり返っている。
星が見える。
都会では絶対に見られない数の星が。
足湯が一か所あって、夜も無料で入れる。
ひとりで浸かりながら、何も考えない時間を過ごした。
そういう夜が、老神温泉にはある。
吹割の滝|「東洋のナイアガラ」は、冬でも容赦ない
老神温泉から車で約10分。
吹割の滝は、歩いてすぐそこにある。
入口から遊歩道を5分も歩けば、轟音が聞こえてくる。
そして、見えた瞬間に声が出た。
幅30メートル、高さ7メートルの滝が、地面に向かって吸い込まれるように落ちている。
普通の滝と違って、上から見下ろすかたちになる。
足元のすぐそこが滝。
柵も少ない。
少し怖い。
でも、それが正直な感想だ。
冬は水量が落ち着いて、滝の岩肌まではっきり見える。
夏とはまた違う表情があるらしいが、冬の静けさと水音の対比がたまらない。
遊歩道は全体で約1時間のコース。
滑りやすい箇所があるので、スニーカーより靴底のしっかりしたブーツがいい。
入場は無料。
これで無料か、と少し申し訳なくなるくらいの景色だ。
老神温泉の宿の朝食|地味だけど、本物だ
泊まった宿は、部屋数10室ほどの小さな旅館だ。
1泊2食で12,000円ほど。
特別豪華ではない。
でも、朝食が忘れられない。
ご飯は地元産のコシヒカリ。
野沢菜の漬物、手作りの豆腐、温泉卵。
品数は多くないけど、全部おいしかった。
食堂の窓の外には雪が積もっている。
静かに食べながら、「旅に来た」と実感した。
こういう朝が、旅の記憶に残る。
老神温泉の宿は全体的に規模が小さめで、家族経営のところが多い。
大型ホテルのような派手さはない。
その分、宿の人と話す機会が多い。
夕食のときに地域の話を聞いて、翌朝には見どころを教えてもらった。
情報収集としても、宿との会話は侮れない。
温泉は24時間入れる宿が多く、夜中に2回入った。
疲れが抜けていくのが、感覚としてわかった。
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老神温泉への行き方
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