水戸の街なかに、突然、深い森が現れる。 石段を踏み始めた瞬間、空気が変わった。 ひんやりして、少し湿っていて、杉の匂いがする。 徳川家とゆかりの深い古社だと聞いている。 でも来てみると、そんな歴史の重さより先に、この静けさが体に入ってくる。 街の中心部から歩いて来られる場所に、これだけの自然が残っている。
水戸八幡宮のおすすめスポット
水戸八幡宮|石段を上るたびに、時代が遡る
参道に入ると、まず石段が迎える。
段数は多くない。
でも一段踏むごとに、街の音が遠くなる。
両脇の杉が、空をすぼめていく。
日中でも薄暗い。
境内に着いたとき、思わず深呼吸した。
本殿は慶長年間の建造。
約400年前の木が、今もそこに立っている。
柱の太さ、屋根の反り。
圧倒されるというより、じっと見つめてしまう感じ。
国の重要文化財に指定されているが、特別な柵も仰々しい看板もない。
ほんとうに普通に、そこにある。
それがよかった。
拝殿の前に立って、誰もいない静寂に気づいた。
平日の午前10時。
観光客はゼロ。
地元のお年寄りが一人、手を合わせている。
そういう場所だ。
社叢の森|市街地の真ん中に残った、本物の原生林
境内の奥に、社叢(しゃそう)と呼ばれる森がある。
樹齢数百年の木が、手つかずのまま残っている。
足を踏み入れると、空気の密度が違う。
夏でも涼しい。
体感で3〜4℃は下がる気がした。
地面は苔に覆われて、踏むのが申し訳ないほど。
これだけの森が、水戸市の住宅地のなかにある。
そのことが信じられない。
鳥の声だけが聞こえる。
風が来ると、木の上のほうがざわざわと鳴る。
下まではほとんど届かない。
そういう場所に、一人で10分以上いた。
別に何があるわけじゃない。
ただ立っているだけ。
でも、それがよかった。
都市の中の静寂。
この森を目的に来てもいい。
例大祭・流鏑馬|年に一度だけ、境内が別の顔を見せる
水戸八幡宮の例大祭は、毎年9月中旬に行われる。
そのなかで奉納される流鏑馬が、見る価値がある。
馬が境内を駆け抜け、的を射る。
距離にして約180m。
時間にして、ほんの数十秒。
でもその数十秒が、ずっと頭に残る。
馬の蹄の音が石畳に響いて、風圧が来て、一瞬で通り過ぎる。
写真を撮る間もない。
次は撮ることより、ちゃんと見ることにしよう。
観覧は無料。
場所取りのために1時間前には来たほうがいい。
地元の家族連れや、カメラを持った人たちで境内が埋まる。
普段の静けさとは別の顔。
それも、この神社の本当の姿だ。
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水戸八幡宮への行き方
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