森の中に、湯気が立っている。 奥入瀬渓流沿いに建つ温泉宿に着いたのは、夕暮れどきだ。 窓の外には渓流が流れ、遠くで水音がする。 冬はとくに、この静けさが際立つ。 雪をかぶったブナ林、凍りかけた滝、誰もいない遊歩道。 そういうものを全部ひっくるめて、奥入瀬は「特別」だ。
奥入瀬渓流温泉のおすすめスポット
奥入瀬渓流冬の散策路|凍りかけた世界を、ひとりで歩く
朝8時、宿を出た。
気温はマイナス5度。
吐く息が白い。
渓流沿いの遊歩道は、夏とはまるで別の場所だ。
木々には霧氷がついている。
水面の一部が凍り、そこだけ時間が止まったみたいだ。
全長14キロのコースを全部は歩かない。
「銚子大滝」まで往復で約2時間。
それだけで十分すぎた。
滝は完全には凍っていない。
半分氷、半分水。
その境界線がやたら美しくて、しばらく動けない。
観光客はほぼいない。
自分の足音と水音だけが聞こえる。
夏の奥入瀬も好きな人は多いけど、冬に来た人しか知らない景色がある。
それを独占できる感覚は、ちょっとした贅沢だ。
奥入瀬渓流ホテル|川沿いの露天風呂で、雪を見ながら浸かる
チェックインは15時。
ロビーに入ると、暖かさと木の香りが混ざった空気があった。
目当ては「渓流露天風呂」だ。
外に出ると、すぐ目の前を奥入瀬川が流れている。
雪がちらついている。
お湯の温度は42度くらい。
肌にとろみがある、重曹泉だ。
体がほぐれていくのを感じながら、川を眺めた。
対岸の木が白い。
雪が積もるたびに、景色が変わっていく。
露天風呂は宿泊者専用。
時間帯によっては貸切状態になる。
朝6時の一番風呂が、いちばん静かでよかった。
朝靄が渓流に漂っていて、現実じゃない気がした。
宿泊料金は1泊2食付きで2万5千円〜。
決して安くはない。
でも、あの露天風呂と静けさは、それだけの価値があった。
十和田市現代美術館|渓流から30分、アートの異空間へ
渓流から車で約30分。
十和田市の中心街に、その美術館はある。
外観からして変だ。
白い建物に、巨大な草間彌生の花が咲いている。
街の中に突然アートが出現している感じ。
入館料は1,800円。
中に入ると、空間ごとに作家が違う。
ロン・ミュエクの「スタンディング・ウーマン」が圧倒的だ。
身長4メートルの女性像。
リアルすぎて、怖いくらいだ。
屋外展示もある。
冬は雪の中にアートがある状態になる。
これが妙に似合う。
白と色彩のコントラストが、夏より際立って見える。
館内のカフェで十和田産のリンゴジュースを飲んだ。
甘さが体に染みた。
渓流を歩いた後の冷えた体に、ちょうどよかった。
モデルコース
奥入瀬渓流温泉への行き方
HUB CITY
青森(拠点都市)から行ける旅先を見る →