栃木県矢板市の山あいに、ひっそりと鎮座する神社がある。 今泉八坂神社。 観光地図にも載っていないような場所だ。 それでも、たどり着いたとき。 杉の巨木が空を覆い、空気がひんやりと変わった。 ここは、静かに時間が流れている。
今泉八坂神社のおすすめスポット
今泉八坂神社|杉の巨木に見上げた先に、空がある
鳥居をくぐった瞬間に気づく。
空気が違う。
境内に入ると、樹齢数百年とも言われる杉の木が何本もそびえ立っている。
幹の太さは、大人が3人手をつないでもまわりきれないくらいだ。
足元は苔むした石畳。
しっとりと湿っていて、滑らないよう一歩一歩確かめながら歩いた。
参道は短い。
でも、その短い距離に濃密な時間が詰まっている。
ふと立ち止まって、上を見上げた。
杉の梢のあいだから青空が見える。
こういう瞬間のために、旅はある。
境内は小さい。
でもそれがいい。
余計なものが何もない。
拝殿はシンプルで、装飾も控えめだ。
だからこそ、木々の存在感だけが際立つ。
訪れた平日の昼間、ほかに参拝者はいない。
完全に独り占めだ。
境内の苔と静寂|音が消えていく場所
境内に入ると、外の音がすっと消える。
国道から車で10分も走ればここに来られるのに、信じられないくらい静かだ。
聞こえるのは、風が杉の葉を揺らす音だけ。
足を止めて、しばらく耳を澄ませた。
地面を覆う苔が、また美しい。
明るい緑色で、雨の翌日はさらに鮮やかになるらしい。
訪れたのは午前10時ごろ。
木漏れ日がちょうど石畳に落ちていて、光と影のコントラストが際立っている。
カメラを持ってきた甲斐があった。
でも、正直なところ。
写真を撮るよりも、ただそこに立っていたかった。
スマホをポケットにしまって、ぼーっと過ごした時間のほうが記憶に残っている。
こういう神社は、急いで来るものじゃない。
ゆっくり歩いて、ゆっくり感じる。
滞在時間は30分もあれば十分だけれど、1時間でも居られた。
アクセスと周辺|不便さも含めて旅になる
矢板ICから車で約15分。
道は途中から細くなる。
対向車が来たらちょっと焦るくらいの幅だ。
公共交通機関でのアクセスはほぼ無理だほうがいい。
レンタカーか、自家用車が前提になる。
でも、その「ちょっと不便」が、この神社の価値を守っているとも感じた。
気軽に来られないから、静けさが保たれている。
周辺には塩原温泉まで車で約20分の距離。
ここに参拝して、温泉で整えるルートが最高だ。
矢板市内には道の駅「やいた」もある。
地元の野菜や農産物が並んでいて、帰り道に寄った。
かぼちゃ100円、なす5本で150円。
そういう発見も旅の醍醐味だ。
この神社を目的地にする旅行者はきっと少ない。
でも、知っている人だけが来られる場所というのが、なんだかいい。
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今泉八坂神社への行き方
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