那須の冬は、静かに刺さる。 雪をかぶった那須岳を遠くに見ながら、 湯煙の中を歩く。 東京から新幹線で約70分。 なのに、着いた瞬間から空気が違う。 凛とした冷たさと、硫黄のにおいと、 どこかから聞こえてくる湯の音。 ここには、温泉とともに生きてきた 土地の時間が、ちゃんと残っている。
那須温泉郷のおすすめスポット
鹿の湯|400年前と同じ湯に、ただ黙って浸かる
那須温泉郷の最奥、鹿の湯。
入浴料は500円だ。
建物は古い。
脱衣所に鍵付きロッカーなんてない。
籠に荷物を入れて、湯へ向かう。
浴槽が6つ並んでいる。
41度、42度、43度、44度、46度、48度。
初めは42度に入った。
それでも十分に熱い。
体がじんじんする。
那須温泉は約1300年の歴史があるらしい。
でも、そんな説明より先に体が理解した。
この湯は、本物だ。
硫黄の白濁した湯が肌にまとわりつく。
5分入って、出る。
また入る。
それだけでいい。
外に出たら、雪が少し舞っている。
冬にここへ来てよかった、と思った瞬間だ。
那須温泉神社|雪の参道を、一人で歩く静けさ
鹿の湯から歩いて5分ほど。
那須温泉神社がある。
冬の平日、参道に人はほとんどいない。
杉の大木が両側に並んでいる。
樹齢何百年かわからないくらい太い。
足元には雪が残っている。
サクサクと踏む音だけが響いた。
那須温泉神社は7世紀創建とされている。
那須温泉の守り神として、
温泉が発見された歴史とともにある神社だ。
拝殿の前に立ったとき、
しんとした空気が体を包んだ。
観光地の喧騒が、ここには届かない。
境内には「温泉の神様」に感謝する
古い碑もあった。
ただの観光スポットじゃない。
この土地に温泉が湧き続けてきた理由が、
ここに凝縮されている気がした。
参拝を済ませて、また湯煙の道へ戻った。
那須岳ロープウェイ|冬の山頂は、別の惑星だ
ロープウェイの乗車時間は約4分。
往復料金は大人1,800円。
山頂駅の標高は1,684m。
ゴンドラが動き出した瞬間、
眼下の景色が一気に小さくなった。
那須の街、遠くの山並み、白く光る雪原。
山頂駅に着いたら、風が来た。
体感気温はおそらく氷点下10度以下。
顔が痛い。
でも、目の前の景色から目が離せない。
茶臼岳の山頂付近、岩と雪と噴気口。
地面から白い蒸気が上がっている。
生きている山だ。
冬に来なければ見られない景色がある。
売店でなめこ汁を買った。200円。
外のベンチで飲んだ。
体の芯まで温まった。
那須の温泉と、那須の山と、
この冷たい空気がセットになって、
はじめて那須を旅した気になった。
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那須温泉郷への行き方
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