谷川岳から流れ込む冷たい空気が、肌を刺す。 冬の上牧温泉は、静かだ。 派手な看板も、行列も、ない。 あるのは、利根川の音と、湯煙だけ。 「温泉地」というより、ひっそりした集落に近い。 それがいい。
上牧温泉のおすすめスポット
風和の湯|透明な湯が、じわじわと体の芯まで入ってくる
上牧温泉の中心にある共同浴場。
入浴料は400円だ。
ロッカーも、シャンプーも、ドライヤーも、ある。
でも、そういう話じゃない。
湯に入った瞬間、肌がするっとした。
アルカリ性単純温泉。
pHは9.4らしい。
言葉より先に、体が分かる感じ。
窓の外は、利根川の河原。
冬だから木が枯れていて、川まで見通せた。
誰もいない。
平日の午後2時。
貸し切りだ。
30分ほど浸かっていると、足先まで温まる。
上がった後も、1時間近く体がぽかぽかしている。
あの感覚は、チェーンのスーパー銭湯では出ない。
利根川河原の冬歩き|誰もいない川沿いを、ひたすら歩いた
温泉宿が並ぶ通りから、階段を下りると河原に出る。
5分もかからない。
1月の河原は、人がいない。
犬の散歩も、子どもも、ない。
砂利を踏む音だけ、聞こえる。
谷川岳が、正面に見える。
雪をかぶっている。
空気が透きとおっていて、山の稜線がくっきりしている。
夏には霞んで見えにくいらしい。
冬に来てよかった、と思った瞬間だ。
川の水は、想像より澄んでいた。
底の石が見える。
流れが速い。
触れた。3秒で指が痛くなった。
河原を30分ほど歩いて、宿に戻った。
体は冷えていたのに、気分は妙に晴れている。
こういう時間を、求めていたんだ。
旅館 上牧温泉 辰巳館|夕食が終わった後の静けさが、本番だ
チェックインは15時。
部屋に入ると、窓から利根川が見える。
川音が聞こえる。
夕食は部屋食だ。
猪の鍋が出た。
地元の猟師から仕入れているらしい。
臭みがない。
むしろ、甘い感じすらした。
食事が終わって、20時ごろ。
もう一度、大浴場へ行った。
露天風呂の縁に積もった雪を、触ってみた。
きれいなかたまりだ。
湯気の向こうに、山の黒い輪郭が見える。
宿全体が、静かだ。
他の客の声も、テレビの音も、聞こえない。
これだけ静かな夜を、最後にいつ過ごしたか、思い出せない。
1泊2食付きで17,000円台から。
決して安くない。
でも、あの静けさには値段がつけにくい。
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上牧温泉への行き方
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