谷川岳から流れ込む冷たい空気が、肌を刺す。 冬の上牧温泉は、静かだ。 派手な看板も、行列も、ない。 あるのは、利根川の音と、湯煙だけ。 「温泉地」というより、ひっそりした集落に近い。 それがいい。
群馬県北部、利根川沿いに湧く温泉地だ。東京から約2時間22分でアクセスできる。最寄りは高崎駅で、バスを利用する。見どころの中心は上牧温泉の湯そのもので、町営露天風呂は利根川に面した木造の浴舎に黄褐色の源泉が注ぎ、川越しに岩肌を眺めながら入れる。宿では地元猟師が仕入れた猪の鍋を部屋食で提供している。足を伸ばすと落差7m・幅30mを誇る吹割の滝があり、岩を割くように落ちる飛沫と轟音が迫力を放つ。沼田城跡公園では野面積みの石垣と曲輪の高低差が城郭の構造を伝え、街歩きの一コースにもなる。川音が届く湯宿の夜。
上牧温泉のおすすめスポット
風和の湯|透明な湯が、じわじわと体の芯まで入ってくる
上牧温泉の中心にある共同浴場。
入浴料は400円だ。
ロッカーも、シャンプーも、ドライヤーも、ある。
でも、そういう話じゃない。
湯に入った瞬間、肌がするっとした。
アルカリ性単純温泉。
pHは9.4らしい。
言葉より先に、体が分かる感じ。
窓の外は、利根川の河原。
冬だから木が枯れていて、川まで見通せた。
誰もいない。
平日の午後2時。
貸し切りだ。
30分ほど浸かっていると、足先まで温まる。
上がった後も、1時間近く体がぽかぽかしている。
あの感覚は、チェーンのスーパー銭湯では出ない。
利根川河原の冬歩き|誰もいない川沿いを、ひたすら歩いた
温泉宿が並ぶ通りから、階段を下りると河原に出る。
5分もかからない。
1月の河原は、人がいない。
犬の散歩も、子どもも、ない。
砂利を踏む音だけ、聞こえる。
谷川岳が、正面に見える。
雪をかぶっている。
空気が透きとおっていて、山の稜線がくっきりしている。
夏には霞んで見えにくいらしい。
冬に来てよかった、と思った瞬間だ。
川の水は、想像より澄んでいた。
底の石が見える。
流れが速い。
触れた。3秒で指が痛くなった。
河原を30分ほど歩いて、宿に戻った。
体は冷えていたのに、気分は妙に晴れている。
こういう時間を、求めていたんだ。
旅館 上牧温泉 辰巳館|夕食が終わった後の静けさが、本番だ
チェックインは15時。
部屋に入ると、窓から利根川が見える。
川音が聞こえる。
夕食は部屋食だ。
猪の鍋が出た。
地元の猟師から仕入れているらしい。
臭みがない。
むしろ、甘い感じすらした。
食事が終わって、20時ごろ。
もう一度、大浴場へ行った。
露天風呂の縁に積もった雪を、触ってみた。
きれいなかたまりだ。
湯気の向こうに、山の黒い輪郭が見える。
宿全体が、静かだ。
他の客の声も、テレビの音も、聞こえない。
これだけ静かな夜を、最後にいつ過ごしたか、思い出せない。
1泊2食付きで17,000円台から。
決して安くない。
でも、あの静けさには値段がつけにくい。
モデルコース
上牧温泉への行き方
📍 Googleマップで見る →温泉旅館が中心。1泊2食プランがおすすめ。
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