雪をまとった至仏山は、遠くから見ても息をのむ。 尾瀬ヶ原の向こう、白く輝く稜線がそこにある。 冬の至仏山は登山者を選ぶ。 でも、それがいい。 苦労して足を踏み入れた先に、日本にまだこんな場所があったかと思わせる景色が待っている。
至仏山のおすすめスポット
至仏山登山口|鳩待峠で、日常から切り離される
鳩待峠に着いたのは朝7時前だ。
気温はマイナス12度。
吐く息が白い。
駐車場から峠まで、シャトルバスで約25分。
料金は片道980円。
ここから標高差約800m、頂上まで約4時間の道のりが始まる。
出発前に山荘でトイレを済ませておくのが鉄則だ。
この先、山頂までトイレはない。
第一歩を踏み出すと、雪がきゅっと鳴った。
その音が気持ちいい。
スノーシューかアイゼンかは、雪の状態次第。
冬期は必ずどちらかを準備していく。
ここで気を抜くと、後で痛い目を見る。
樹林帯を抜けると視界が開ける。
尾瀬ヶ原が眼下に広がった瞬間、思わず足が止まった。
白い平原の向こうに燧ヶ岳が見える。
この景色のためだけでも、来た価値がある。
至仏山山頂|標高2,228m、風と雪と青だけの世界
山頂直下の急斜面がきつかった。
傾斜30度超え。
一歩踏み出すごとに足がずぶりと沈む。
ゆっくり、確実に上がっていくしかない。
山頂に立ったのは出発から3時間45分後。
標高2,228m。
風が強く、体感温度はマイナス20度を下回っている。
でも、目に飛び込んできた光景に寒さを忘れた。
360度、遮るものが何もない。
谷川連峰、燧ヶ岳、遠く富士山まで見えた日だ。
雪煙が舞う稜線が、映画のワンシーンみたいだ。
山頂では風を避けられる場所がほぼない。
行動食とホットドリンクは必ず持参すること。
テルモスに熱いお茶を入れていったのは正解だ。
山頂でこれを飲む15分が、旅の中で一番幸せな時間だ。
冬期の至仏山は、登山経験者向けの山だ。
装備不足での入山は命に関わる。
山ノ鼻ルート|帰りは尾瀬ヶ原を歩いて降りる
山頂から山ノ鼻へ下るルートを選んだ。
このルートが、ある意味で一番の見せ場だ。
急斜面を滑るように下ると、そこは別世界。
雪に覆われた尾瀬ヶ原が、静かに広がっている。
音がない。
風の音だけがある。
山ノ鼻の山小屋(尾瀬山ノ鼻ビジターセンター)は冬期閉鎖中だ。
ここで休憩はできないと思っておいたほうがいい。
山ノ鼻から鳩待峠まで、尾瀬ヶ原の木道を歩いて約1時間。
夏は木道が雪に完全に埋まって見えない。
かわりに、真っ白な原っぱの上を自由に歩ける。
振り返ると、さっきまで頂上にいた至仏山がそびえている。
あそこにいたんだと、少し誇らしい気持ちになった。
帰りのシャトルバスの最終便は16時30分。
余裕を持ったスケジュールで動くこと。
日暮れが早い冬は、特に注意が必要だ。
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至仏山への行き方
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