山の上に、石垣だけが残っている。 天守はとっくに消えた。 それでも、ここに来る理由がある。 笠間城は、茨城の山の中にひっそりと立つ山城だ。 整備された観光地じゃない。 汗をかいて、木の根を踏みながら登る。 たどり着いたとき、風が通り抜けた。 その瞬間が、ずっと頭に残っている。
笠間城のおすすめスポット
笠間城跡|石垣だけが語る、600年前の記憶
登山口から天守跡まで、歩いて約20〜30分。
道は舗装されていない。
木の根と石が混じった山道を、黙々と登る。
息が上がってきたころ、突然視界が開ける。
目の前に現れるのは、苔むした石垣だ。
誰かが積んだ石が、400年以上ここに立っている。
そのことが、じわじわと胸に来た。
天守は江戸時代末期に取り壊されている。
今あるのは石垣と礎石だけ。
でも、むしろそれがいい。
余計なものがないぶん、空気が澄んでいる。
頂上からの眺めは、木々の隙間から笠間の街が見える程度。
ドラマチックな絶景じゃない。
だけど、風が常に吹いている。
その静けさが、妙に心地よかった。
観光客は少ない。
平日の午前中なら、ほぼ独占できる。
それだけで、来る価値がある。
八坂神社〜登山道|城への道が、すでに旅だ
笠間城に登る途中、いくつかの社が点在している。
八坂神社、宍戸藩の陣屋跡、古い石仏。
登るだけじゃなくて、立ち止まる場所がある。
道の途中に「天守跡まで○○m」という看板がある。
数字が減るたびに、妙にテンションが上がった。
杉と広葉樹が混ざった山道は、季節によって顔が変わる。
秋に訪れたとき、足元は落ち葉でふかふかだ。
踏むたびにサクサクと音がして、それが気持ちよかった。
道の脇には、かつての郭(くるわ)の跡もある。
説明板が立っているが、正直わかりにくい。
でも、雰囲気で「ここに何かあったんだ」とわかる。
そういう想像力を使う旅が、好きな人には刺さる場所だ。
登山口から30分も歩けば、別の時間の中にいる感覚になる。
スマホの電波は一応つながるが、見る気にならない。
笠間稲荷神社|城の麓で、ひと息つく場所
笠間城の登山口に近い、笠間稲荷神社。
日本三大稲荷のひとつとされている。
城跡とセットで訪れる人が多い。
境内は広く、参道には陶器の店が並ぶ。
笠間は焼き物の産地だから、あちこちに陶芸品がある。
ついつい立ち止まって、ひとつひとつ眺めてしまった。
城跡から下山した後に立ち寄るのがおすすめだ。
足が疲れているから、平坦な境内が体にちょうどいい。
参道の茶屋でいなり寿司と甘酒を頼んだ。
600円くらいで、ほっとする味だ。
神社自体は年間300万人が訪れるらしい。
城跡とは対照的に、にぎやかだ。
どちらが好きか、と言われれば、城跡の静けさが好きだ。
でも、神社のにぎわいに触れてから帰ると、旅の余韻がちょうどよく締まる。
駐車場はこちら側を使うのが便利だ。
城跡単体に専用駐車場はない。
モデルコース
笠間城への行き方
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