湖面が白く凍りはじめる季節に、十和田湖畔へ向かった。 標高400メートル。 冬の青森は、想像より静かだ。 観光客もほとんどいない。 その静けさの中に、温泉街がひっそりと息をしている。 湯けむりと雪と、針葉樹の匂い。 ここでしか感じられないものが、確かにあった。
十和田湖畔温泉のおすすめスポット
十和田湖畔温泉街|誰もいない湖岸で、湯けむりが上がっている
宿についたのは夕方4時すぎ。
チェックインより先に、湖畔を歩いた。
冬の十和田湖は、人がいない。
それが正直、最初は少し怖かった。
でも歩いていくうちに、その静けさが心地よくなってきた。
温泉街のメインストリートは500メートルほど。
シャッターの閉まった土産屋が目立つ。
廃れている、というより、
「冬に来る人が少ない」だけだとわかった。
湖岸に出ると、水面がうっすら霧をまとっている。
気温はマイナス3度。
吐く息が白い。
それでも、ここが気に入った。
観光地の騒がしさがない。
インスタ映えを狙う人もいない。
ただ湖と、冬と、温泉がある。
それだけの場所だ。
乙女の像周辺の遊歩道|マイナス気温の朝、誰より早く歩いた
翌朝、7時に宿を出た。
気温マイナス5度。
雪がうっすら積もっている。
乙女の像まで、宿から歩いて10分。
その道が、よかった。
湖沿いの遊歩道は、踏み固められた雪で白く光っている。
木々に霧氷がついている。
触れると、さらさらと落ちた。
像の前に着いたとき、誰もいない。
高さ約2メートル。
正面から見る顔と、横から見る顔が違う。
こんなに表情が変わるものかと、ぐるりと一周した。
設置されたのは1953年。
彫刻家・高村光太郎の最後の作品だという。
冬の朝に、一人で向き合うのがよかった。
帰り道、宿の朝食が待っている。
ホタテの味噌汁が、体に染みた。
十和田湖畔の宿の温泉|夜中の2時に、誰もいない露天風呂に入った
温泉は夜中まで入れた。
深夜2時、目が覚めて露天風呂へ向かった。
誰もいない。
当たり前だけど、それがよかった。
湯温は42度くらい。
外気温はマイナス7度。
頭の上に雪が積もりはじめた。
対岸の山が、うっすら月明かりに浮かんでいた。
この景色を、誰かに見せたかった。
十和田湖畔の温泉は、硫黄の香りが強くない。
アルカリ性の単純温泉で、肌がすべすべになる。
翌朝、顔を触って気づいた。
冬に来ると宿代が安い。
同じ宿の夏料金を調べたら、1.5倍だ。
繁忙期を外して、深夜の露天風呂を独り占めできる。
それが冬旅の正解だ。
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十和田湖畔温泉への行き方
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