青森の山奥に、ひっそりと湯が湧いている。 観光地という言葉が似合わない場所。 でも一度浸かると、もう離れたくなくなる。 相乗温泉はそういう場所だ。 雪に埋もれた道を走って、やっとたどり着く。 その静けさごと、旅の目的になる。
相乗温泉のおすすめスポット
相乗温泉 共同浴場|誰もいない朝7時、湯だけが静かに満ちている
朝7時に扉を開けた。
誰もいない。
床は古い木張りで、湯船はひとつだけ。
料金は確か200円。
券売機も受付もない。
小さな箱にお金を入れるだけ。
源泉は無色透明だけど、肌にふれると違う。
じんわり、体の芯まで温まっていく感じ。
ナトリウム系の塩化物泉で、湯上がりはずっとポカポカしている。
窓の外は雪。
音がない。
観光客はまず来ない。
地元のおじいさんが、15分後に入ってきた。
「毎朝来とるよ」と言った。
そういう場所だ。
露天もサウナもない。
シャンプーも置いていない。
でも、またここに来たい。
たぶん、余計なものが何もないからだ。
温泉街の雪道散歩|静寂が、歩くたびにきしむ
湯上がりに外に出た。
気温はマイナス4度。
顔が痛い。
でも歩きたくなった。
相乗温泉の周辺には、旅館が数軒と小さな食堂が1軒。
それだけ。
コンビニはない。
自販機が1台あった。
雪が積もった細い道を歩くと、
きゅっきゅっという音がする。
その音だけが聞こえる時間が続く。
30分も歩けば全部見て回れる規模。
でも急ぐ気になれない。
廃業した旅館の看板がひとつ残っている。
昭和の字体で書かれた屋号。
かつては賑わっていたんだ。
今は静かすぎるくらい静か。
それが逆に、記憶に残る。
温泉街って、こういう顔もある。
地元食堂の定食|600円で、ちゃんと温まれる
温泉街のはずれに、小さな食堂があった。
看板も出ていないような店。
引き戸を開けると、おばちゃんがひとりいた。
「何にする?」と聞かれた。
メニューは壁の紙に手書き。
イカ焼き定食を頼んだ。600円。
ごはん・みそ汁・漬物つき。
イカはでかかった。
弾力があって、醤油の焦げた匂いがした。
みそ汁は具だくさんで、体に染みた。
店内には地元のひとが2人。
テレビで昼のニュースをやっている。
旅行者っぽいのは自分だけだ。
こういう店に入れると、旅が変わる気がする。
観光用じゃない食事。
その土地の、普通の昼飯。
帰り際に「どこから来たの?」と聞かれた。
「東京から」と答えたら、少し笑ってた。
モデルコース
相乗温泉への行き方
HUB CITY
青森(拠点都市)から行ける旅先を見る →