十和田湖へ向かう道の途中に、突然現れる。 看板もひっそり、建物も古い。 でも扉を開けた瞬間、湯の匂いと静寂が押し寄せてきた。 蔦温泉は、「秘湯」という言葉がちょうどいい場所だ。 ブナの原生林に囲まれて、冬は雪が積もって、 それでも湯は底から静かに湧き続けている。
蔦温泉のおすすめスポット
蔦温泉旅館|床板の下から、湯が湧いている
明治43年創業。
その事実だけで、少し背筋が伸びた。
建物は古い木造で、廊下を歩くと少しきしむ。
でも、それが嫌じゃない。
むしろその音が、ここに来たことを実感させてくれる。
浴室に入って驚いた。
浴槽の底の板の隙間から、源泉がじわじわ湧き出てくる。
「源泉湧き流し」という仕組みで、
加熱も循環もしていない、本当に生の湯だ。
温度は40℃前後で、ぬるめ。
だから長くつかっていられる。
気づいたら1時間近く経っている。
冬に訪れると、窓の外は雪景色。
湯気と雪と、ブナ林の静けさが重なって、
時間の感覚がどこかへ行ってしまう。
日帰り入浴は700円。
この値段でこの体験は、正直すごい。
蔦の七沼|雪の中で、沼は静かに青かった
蔦温泉から歩いて10分ほど。
遊歩道の入口がある。
冬は積雪があるため、長靴かスノーブーツが必須だ。
ルートによっては、膝まで雪に埋まることもある。
蔦沼、鏡沼、月沼……七つの沼が点在している。
それぞれ歩いて巡ると、1時間半ほどかかる。
一番印象に残ったのは蔦沼。
水面が空の色を映して、
冬でも不思議なほど鮮やかな青だ。
ブナの木が沼を囲むように立っていて、
雪をまとった枝が水面に影をつくっている。
カメラを構えたまま、しばらく動けない。
秋の紅葉シーズンは早朝に行列ができるほど混む。
冬は人がほぼいない。
その静けさは、冬だけの贅沢だ。
蔦温泉周辺の冬道|静寂の中を、ただ走る
蔦温泉へのアクセスは、車が現実的だ。
青森市から約1時間40分。
十和田市内から約40分。
冬の国道103号線は、雪道になる。
スタッドレスタイヤは絶対条件。
道中、信号がほとんどない区間が続く。
その道が、思いのほか良かった。
両側に雪をかぶったブナ林が続いて、
車1台分しか通れないような細い場面もある。
誰ともすれ違わない時間が長くて、
ちょっと別の世界に入り込んだ気がした。
途中、焼山地区を通過する。
蔦温泉と十和田湖の間にある小さなエリアで、
奥入瀬渓流への入口にもなっている。
冬の奥入瀬は「氷瀑」が見られる。
流れが凍って、滝がそのまま白く固まっている。
あの光景は、夏には絶対に見られない。
蔦温泉とセットで、冬にこそ来る価値がある場所だ。
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蔦温泉への行き方
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