列車の窓が、いきなり海になる。 右側に座っていてよかった、と思う瞬間だ。 五能線は、青森の日本海側をぎりぎりまで海に寄り添いながら走る。 リゾートしらかみに乗り込んで数時間、車窓の景色が変わるたびに息を呑む。 ここは、急がない人のための路線だ。
五能線沿線のおすすめスポット
千畳敷|波が削った畳200枚分の岩の上に、ぽつんと立つ
駅を降りたら、もう目の前だ。
改札も案内板もいらない。
ただ、岩盤が広がっている。
寛政4年の地震で一夜にして海底が隆起した、と説明板にある。
1792年の出来事が、今もそのまま残っている。
スニーカーで歩くには少し滑る。
革靴できた人が困っている。
干潮のタイミングで行くと、岩の表面に残った海水が光る。
そこに夕日が落ちてきたとき、正直、声が出ない。
冬に来ると、波しぶきが岩を叩く音が全然違う。
夏とは別の場所みたいだ。
滞在時間は20〜30分あれば十分だけど、なぜかもっと長くいてしまう。
列車の時間に遅れそうになった。
不老ふ死温泉|海と空の境目が、ぼやけていく
露天風呂が、海のすぐ隣にある。
本当に、すぐ隣だ。
波打ち際まで5メートルもない。
お湯は鉄分が多くて赤茶色。
最初は戸惑うけれど、入ってしまえば関係なくなる。
視界が、ほぼ海だから。
朝8時の開館と同時に入るのがおすすめだ。
人が少なくて、波の音だけ聞こえる。
日帰り入浴は600円。
タオルは持参した方がいい。300円で貸し出しもある。
秋に行ったとき、空が白くて海もほぼ同じ色だ。
水平線がどこにあるか、わからなくなった。
あの感覚は、説明しにくい。
宿泊もできる。
夕食に出てきた地魚の刺し身が分厚くて、箸が止まらない。
次は絶対に泊まる、と思っている。
白神山地|人間が入れない森が、まだ存在している
世界遺産の登録区域には、許可なく入れない。
それを知って、最初は拍子抜けした。
でも、十二湖エリアを歩いてみて、考えが変わった。
青池の色が、本物じゃないみたいだ。
コバルトブルーという言葉が追いつかない。
曇りの日の方が、色が深く出ると聞いた。
晴れた日に行って、それでも十分すぎた。
遊歩道を1時間ほど歩くと、ブナ林の中に入る。
葉が落ちた11月の白神が、個人的には一番好きだ。
幹だけが並ぶ風景は、少し別の星みたいだ。
熊が出るエリアがあるので、熊鈴は必須だ。
売店で300円くらいで買える。
静かな森に、鈴の音が響くのも悪くない。
深浦|漁港の町で、時間の流れ方が違う
深浦は、通過する人が多い。
でも、降りた方がいい。
港沿いを歩くと、漁船が並んでいる。
朝早く行くと、水揚げしたばかりのヒラメやマグロが並んでいた。
観光客向けじゃない、普通の漁港だ。
駅前の食堂で食べたウニ丼が1,800円だ。
東京の半分以下の値段で、量が倍あった。
味は書くまでもない。
町のスーパーで買った焼きイカが、旅行中で一番うまいものだっただ。
200円くらいだった気がする。
冬の深浦は風が強い。
波も高い。
港に打ち寄せる波を見ながら、缶コーヒーを飲んだ。
それだけのことが、やけに記憶に残っている。
急がない旅の、一番いい時間だ。
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五能線沿線への行き方
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