津軽という言葉には、どこか湿った重さがある。 青森の中でも、五所川原はとりわけ濃い。 祭りの熱気、細い鉄路、文豪の影。 それが一日で全部、手の届く距離にある。 ここは「観光地」じゃない。 暮らしの匂いがまだ残っている町だ。
五所川原のおすすめスポット
立佞武多の館|高さ23m、祭りの怪物と目が合う
エレベーターで4階まで上がる。
そこで急に、視界が変わった。
目の前に、巨大な顔があった。
高さ23m、重さ19t。
立佞武多(たちねぷた)と呼ばれるねぶたは、五所川原の祭りで実際に街を練り歩く。
青森市のねぶたとは別物だ。
縦に細長く、圧倒的に「高い」。
館内は常時3基を展示している。
近くで見ると、和紙の灯籠の質感がわかる。
繊細なのに、なぜかこんなに怖い。
1階では制作の映像も流れている。
職人が1年かけて作り、8月の5日間だけ使う。
そのことを知ってから見ると、また違う重さがあった。
入館料は大人600円。
9時〜19時まで開いている(季節により変動あり)。
午前中の光の中で見るのがいい。
人が少ない時間帯を狙って正解だ。
津軽鉄道|日本最北の軽便鉄道で、時間がゆっくりになる
五所川原駅の隣に、もうひとつ小さな駅がある。
津軽五所川原駅。
津軽鉄道の起点だ。
乗車券は硬券。
手書きのスタンプを押してくれた。
それだけで、もう旅の気分になる。
ディーゼル車に乗り込むと、扉が手動だ。
自分で開けて、自分で閉める。
車内はボックスシート。
ストーブ列車で有名だが、この日は秋。
それでも車窓に広がる田園と山は十分すぎた。
終点の津軽中里まで、約50分。
単線で、すれ違いのたびに止まる。
急ぐ人には向かない電車だ。
でも急がなくていい。
そのための電車だ。
途中、芦野公園駅で降りた。
無人駅のホームに、桜の並木が続いている。
冬は雪に埋もれるらしい。
片道運賃は五所川原〜津軽中里間で820円(2024年時点)。
suicaは使えない。
金木町・斜陽館|太宰治が逃げ出したかった家に、立ってみた
津軽鉄道で金木駅に降りると、すぐ近くに「斜陽館」がある。
太宰治の生家だ。
入ると思わず声が出た。
でかい。
明治40年築の和洋折衷の大邸宅。
太宰の父は津軽の大地主だ。
部屋数は11。
蔵が2棟。
太宰はここで生まれて、ここを嫌った。
恥のような感情が、あの暗い文体を作っただ。
そんなことを考えながら、縁側に立った。
庭を見ていると、静かだ。
観光客もまばらで、風の音しかしない。
入館料は大人600円。
斜陽館から徒歩3分のところに、太宰が通った居酒屋を改装した「津軽三味線会館」もある。
生演奏を聴ける時間帯があるので、時間を確認してから行くといい。
金木の町自体が小さい。
1時間あれば十分まわれる。
でも、急いでまわる場所でもない。
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五所川原への行き方
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