硫黄の匂いが、鼻をついた瞬間に気づく。 ここはただの温泉地じゃない。 地面がぼこぼこと息をしていて、 湯煙が風に流されながら空に消えていく。 秋田の山奥、標高1000m近い場所に こんな世界があったのかと、 正直、震えた。
後生掛温泉のおすすめスポット
後生掛温泉|地球が生きている、その上に宿がある
チェックインを済ませて、まず外に出た。
宿のすぐ裏に、泥火山がある。
距離にして10メートルもない。
ぼこ、ぼこ、と泥が膨らんでは沈む。
音がする。においがする。
地面が呼吸しているとしか言いようがない。
館内は全面板張りの廊下で、
温泉の種類が5つもある。
箱蒸し、泥湯、打たせ湯、露天、内湯。
1泊じゃ全部入りきれない。
泥湯は本当に泥色で、最初は躊躇した。
でも入った途端、体の芯からほぐれていく感覚があった。
深夜2時に目が覚めて、もう一度湯に浸かりに行った。
廊下には誰もいない。
湯けむりが窓の外を流れている。
あの時間は、一生忘れない気がする。
素泊まりは1泊8,000円台から。
食事付きプランは12,000円前後が目安。
八幡平ドラゴンアイ|5月だけ現れる、雪の目
「見られたのはラッキーだった」と、
あとで地元の人に言われた。
八幡平の頂上付近、鏡沼に現れる「龍の目」。
雪解けのタイミングで、湖面に青い瞳のような模様が浮かぶ。
見頃は毎年5月中旬〜下旬のわずか2〜3週間。
アスピーテラインを車で上り、
頂上付近から徒歩15分ほど歩く。
残雪の上を歩くので、軽アイゼンがあると安心だ。
沼の前に立って、思わず声が出た。
青、というより碧に近い色。
写真で何度も見ていたのに、
実物の透明感は全然違った。
雲が出ると水面の色が変わる。
10分いるだけで、3回色が変わった。
冬は道路ごと閉鎖になる。
ドラゴンアイ目当てなら、5月の晴れ予報の日を狙って。
平日でも人は多い。朝8時台に着くのが正解。
玉川温泉|日本一の強酸性、ここは温泉というより薬
後生掛から車で20分。
玉川温泉に立ち寄った。
pH1.2。国内で最も酸性の強い温泉とされている。
最初の一歩で、空気が違うとわかった。
岩盤から湯気が上がり、至るところに「高温注意」の看板がある。
岩盤浴のためにシートと段ボールを持参して、
地熱の上に横たわる人たちがいた。
みんな無言で、静かに目を閉じている。
実際に湯に浸かってみると、最初は普通に見える。
でも5分もしないうちに、皮膚がひりひりしてきた。
pH1.2というのは伊達じゃない。
長湯は禁物で、案内板に「3分以内を推奨」と書いてあった。
難病を抱えた人が長期滞在することでも知られている。
温泉が「治療」になる場所というのを、
ここで初めてリアルに感じた。
日帰り入浴は700円。
シャンプー・コンディショナーの使用は禁止。