雪の中に、温泉の湯気が立ち上る。 そんな景色が、本当に存在する。 八幡平は、岩手と秋田の県境にある高原地帯だ。 標高1,613メートル。 冬になると、人の気配がほとんど消える。 その静けさの中に、地面から熱が湧き出ている。 ここに来るたびに思う。 地球って、まだ生きているんだな、と。
八幡平のおすすめスポット
八幡平頂上|雪の稜線に、風だけが走っている
頂上までのルートは、冬季は限られる。
除雪された八幡平アスピーテラインを使うことになる。
開通は例年4月下旬。
それまでは、雪の壁の中を走る。
壁の高さは、多いときで8メートルを超える。
車の窓から空が見えない瞬間がある。
あの圧迫感は、なかなか言葉にならない。
頂上駐車場から山頂まで、歩いて約20分。
整備された木道があるが、冬は雪の下だ。
スノーシューを借りていくのが正解だ。
山頂に着いたとき、風が急に強くなった。
遮るものが何もない。
岩手山が、ずっと向こうに見える。
曇り空でも、その輪郭だけははっきりしている。
写真を撮る手が、5分で感覚を失った。
それでも、もう少し立っていたかった。
藤七温泉|露天風呂の向こうに、雪原が広がっている
東北で最も標高の高い温泉のひとつ、と聞いた。
標高1,400メートル。
アクセスは冬季閉鎖になるため、営業は例年5月中旬から10月下旬ごろだ。
日帰り入浴は800円。
脱衣所は古くて小さい。
でも、扉を開けた瞬間に、全部どうでもよくなった。
露天風呂が、外に向かって開いている。
仕切りがない。
空と湯船が、ほぼつながって見える。
泥のような白濁した湯が、地面のあちこちから湧いている。
温度がそれぞれ違う。
熱いところ、ぬるいところ、入りながら移動する。
空が曇っている。
そのほうがよかっただ。
晴れていたら、もっと長居していた気がする。
湯船の縁に腰かけて、ぼんやりと山を見ている。
時間が、ゆっくり流れている。
松川温泉|山の奥に、ひっそりと熱が湧いている
藤七温泉よりも標高が低い。
松川温泉は、松尾八幡平ICから車で約30分の場所にある。
冬でも営業している宿がある。
そこが、ありがたかった。
松川荘の日帰り入浴は500円。
硫黄の匂いが、駐車場に着いた瞬間からする。
その匂いで、温泉に来た実感が湧く。
内湯は小さくて、地元のお年寄りが数人いた。
誰も話しかけてこない。
静かに入って、静かに出ていく。
そのくらいの距離感が、ちょうどよかった。
外に出ると、川沿いの野天風呂があった。
無料で入れる。
脱衣所は簡素なつくりで、雪が積もっている。
誰もいない。
川の音だけが聞こえる。
10分くらい浸かっている。
寒くて上がれなかっただけだけど。
あの静けさは、ここでしか体験できない。
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八幡平への行き方
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