別府から車で20分。 そこに、ひっそりと海沿いの城下町がある。 日出(ひじ)。 読み方すら知らない。 でも一度行ったら、忘れられなくなった。 海と歴史と、あの魚の味が。 まだ観光地化されていない、本物の静けさがあった。
日出のおすすめスポット
暘谷城跡(日出城)|海の上に、城があった。
城跡に着いたのは朝9時ごろだ。
人がいない。
ほぼ誰もいない。
それが、よかった。
暘谷城跡は別府湾に突き出た断崖の上に立つ。
天守は残っていない。
でも石垣と、その先に広がる海がある。
石垣の端に立つと、足元がすぐ海だ。
高さにして10メートルはある崖。
徳川家康の孫にあたる木下氏が築いた城で、
江戸時代からずっとここにある。
案内板を読みながら、なんとなく時間の重さを感じた。
観光客がいないから、自分のペースで歩ける。
30分もあれば一周できる広さだけど、
海を眺めながらぼーっとしていたら1時間経っている。
そういう場所だ。
近くに日出藩主廟もあって、
石造りの墓が苔むしてひっそり並んでいる。
ここまで来る観光客は少ない。
でも来た。来てよかった。
城下かれい料理|1匹3,000円の魚が、なぜこんなにうまいのか。
日出に来た理由の半分は、これだ。
城下かれい。
日出城の石垣下に湧く清水で育ったマコガレイで、
日出でしか食べられない。
地元の食堂で刺身定食を頼んだ。
1匹まるごと、薄造りにしてくれる。
値段は3,500円。
正直、高い。
一瞬ためらった。
食べたら、後悔が消えた。
身が透き通っていて、甘い。
コリコリという食感が、口の中でしばらく続く。
ポン酢をつけると魚の甘さが際立つ。
もう一枚、また一枚。
漁獲量が少ないから、時期や店によっては食べられないこともある。
9月〜12月が旬で、脂がのっている。
事前に電話して確認してから行くことをすすめる。
地元の人に「どこで食べるのが一番いいか」と聞いたら、
「魚屋に直接行けばいい」と言われた。
それが日出のリアルだ。
日出温泉|別府の隣にある、静かな湯。
別府の温泉に飽きたわけじゃない。
でも、あの賑やかさに少し疲れている。
日出温泉は、別府から20分の距離にあるのに、
人の数が全然違う。
地元の人が普段使いしている、そういう温泉だ。
立ち寄ったのは日出温泉の共同浴場。
料金は200円。
二百円。
建物は古い。
でも湯は本物だ。
ナトリウム炭酸水素塩泉で、肌がつるつるになる。
湯上がり30分後も、すべすべが続いている。
地元のおじさんが「どこから来た?」と話しかけてきた。
城下かれいの話をしたら、
いい店を教えてくれた。
観光地の温泉じゃなくて、
生活の中にある温泉だ。
それがよかった。
宿泊なら、別府に拠点を置いて日出に日帰りでもいい。
逆に日出で1泊すると、朝の海と静けさがついてくる。