山形の山奥に、時間が止まったような温泉街がある。 バスを乗り継いで、山道をぐねぐねと1時間。 たどり着いた先に、川沿いにぽつぽつと並ぶ宿の灯り。 雪が積もって、湯けむりが上がって、静かだ。 ここに来る人は、観光じゃなくて「湯治」が目的だったりする。 そういう温泉が、まだ残っている。
肘折温泉のおすすめスポット
肘折温泉街|湯治の文化が、ちゃんと生きている
温泉街に入ると、まず建物の古さに目がいく。
昭和どころか、もっと前の雰囲気が残っている宿もある。
川に沿って一本道。
それだけの小さな温泉街だ。
「湯治」という文化がここにはある。
1週間、2週間と滞在して、湯に浸かり続ける。
自炊部屋のある宿もあって、1泊4,000円台から泊まれるところもあった。
旅館というより、暮らしに近い。
夕方になると、浴衣姿の人が路地をゆっくり歩いている。
急いでいる人が、一人もいない。
それが不思議と心地よかった。
泉質は含鉄・ナトリウム塩化物泉。
お湯に浸かると、肌がじんわり温まって、なかなか冷めない。
冬に来てよかったと、心の底から思った瞬間だ。
肘折の朝市|朝6時、雪の中で始まる市
冬の朝6時。
まだ暗い中、宿の前に出た。
気温はたぶんマイナス5度を下回っている。
温泉街の一本道に、おばあちゃんたちが並んでいた。
漬物、野菜、山菜、手作りの惣菜。
小さな台に、それぞれのものを広げている。
「これ何ですか」と聞いたら、方言混じりで教えてくれた。
よく聞き取れなかったけど、笑顔で分かった気になった。
山菜の漬物を100円で買った。
夕食のお供に、宿に持ち込んだ。
シンプルなのに、妙においしかった。
朝市は毎朝6時〜7時半ごろ。
5月から11月が基本だが、冬でも数人出ていることがある。
ただし冬は本当に短い時間で終わる。
早起きして、温泉に浸かって、朝市に出る。
その順番が、肘折での正解だ。
銅山川|川音だけが聞こえる、白い渓谷
温泉街のすぐ横を、銅山川が流れている。
冬は雪が積もって、川岸が白く染まる。
水は澄んでいて、冷たそうで、静かだ。
散策路を少し歩くと、人がいなくなった。
聞こえるのは川の音だけ。
スマホを見る気にもならない。
この川沿いに、かつて銅山があったという。
その名残りで「銅山川」という名前がついている。
今はその痕跡もほとんど見えないが、地名だけが残っている。
温泉宿の窓からも川が見える。
夜、部屋の灯りを消して川音を聞いていたら、
いつの間にか眠っている。
観光地としての整備はほとんどない。
あるのは川と、雪と、空気だけ。
それで十分だ。
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肘折温泉への行き方
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