フェリーを降りた瞬間、潮の匂いがした。 大分・国東半島の沖合11km。 姫島は、そこにある。 観光地というより、生活の島だ。 七不思議と呼ばれる不思議な場所が点在して、 海岸には温泉が湧いている。 そういう島が、瀬戸内の端っこにある。 それだけで、来る理由になった。
姫島のおすすめスポット
姫島七不思議|説明されても、やっぱり不思議だ
「七不思議」という言葉が大げさに聞こえる。
正直、最初はそう思っている。
でも、逆柳を見たとき、黙った。
柳の枝が、全部下じゃなく上に向かって伸びている。
見上げると、空に向かって茂っている。
どう見ても、普通じゃない。
拍子水は、湧き出る場所が海のすぐそば。
海水じゃなく、淡水が湧く。
なんで、ここから。
それが全部説明されても、腑に落ちない感じが残る。
レンタサイクルで島をぐるっと回ると2〜3時間。
料金は1日500円が相場。
道は平坦な場所が多いが、一部アップダウンあり。
七か所すべて回ろうとすると、思いのほか時間がかかる。
急がないほうがいい。
ひとつひとつ、立ち止まる時間が必要だ。
姫島港|島の始まりは、ここだ
国東市・伊美港からフェリーに乗る。
所要時間は約20分。
運賃は大人680円(片道)。
船が港に近づくと、島のシルエットがはっきりしてくる。
小さいけれど、確かにそこにある。
姫島港を降りると、まず静けさに気づく。
派手な看板がない。
大きな土産物屋がない。
観光客向けに整備されすぎていない。
港の近くに食堂が数軒。
昼は11時半を過ぎると混み始めるので、早めに動いたほうがいい。
夕方のフェリーを待つ時間、港のベンチに座っている。
漁師の軽トラが走り、猫が石の上で寝ている。
観光のための島じゃなく、誰かが暮らしている島だ。
その感触が、ずっと残っている。
阿弥陀瀬温泉|潮が引いたときだけ、現れる
干潮のタイミングを、宿で確認してもらった。
そういう温泉だ。
潮が引かないと、入れない。
岩場の間から、ぽこぽこと温泉が湧き出ている。
海と温泉の境界が、よくわからない。
温かい場所を探しながら、岩の上に座った。
入浴料はかからない。
脱衣所もない。
水着か、濡れてもいい格好で行くことになる。
温度は場所によってばらつきがある。
熱めのところと、ぬるいところが混在している。
岩がごつごつしているので、サンダルは必須だ。
空が広い。
目の前が海で、後ろも海で、どこを向いても水平線がある。
こんな温泉、他に知らない。
日常の温泉とは、たぶん別のものだ。
干潮の時間に合わせて行動するのが、少し旅っぽくて悪くない。