青森市から車で1時間も走らない場所に、こんなに深い場所があるとは思わない。 平川は、派手な観光地じゃない。 でも、温泉に浸かって、動物と目が合って、もぎたてのりんごをかじったとき—— ああ、また来たい。 そういう旅が、ここにある。
平川のおすすめスポット
碇ヶ関温泉|江戸時代から人が集まった湯に、夕方ひとりで浸かる
碇ヶ関に着いたのは夕方16時ごろだ。
宿に荷物を放り込んで、まず温泉へ向かった。
御関所の湯、入浴料は大人300円。
安い。驚くほど安い。
でも湯はちゃんとしている。
ナトリウム・カルシウム塩化物泉で、肌がしっとりする感じがわかった。
平日の夕方だったせいか、ほぼ貸し切り状態だ。
誰もいない湯船に、ひとりで浸かる。
外は暗くなりかけている。
地元のおじさんが一人入ってきて、「どこから?」と聞いてきた。
東京から来たと答えると、「遠いとこから来たねえ」と笑った。
それだけの会話だったけど、なぜか印象に残っている。
明治時代の文人も訪れたという記録が残る湯。
歴史がどうとか関係なく、ただいい湯だ。
平川動物公園|ホッキョクグマに、まじまじと見つめ返された午前
開園は9時。早めに行くのが正解だ。
10時を過ぎると家族連れが増えてくる。
入園料は大人410円。
安すぎて一瞬間違えたか。
広さは約20ヘクタール。
のんびり歩いて2〜3時間コースだ。
目当てはホッキョクグマだ。
水槽のガラス越しに、クマがぐるぐる泳いでいた。
ふと立ち止まって、こちらを見た。
じっと、見た。
5秒くらい目が合った気がした。
なぜか動けなくなった。
ゾウもいる。アムールトラもいる。
種類は豊富なのに、混雑していない。
この静けさが、正直いちばんの魅力だ。
りんごソフトクリーム350円を食べながら園内を歩いた。
甘すぎず、後味がさっぱりしている。
動物園でこんなに満足するとは思っていない。
りんご農園見学|もいでその場で食べる。これが正解だ
平川市はりんごの産地として知られる。
生産量は青森県内でもトップクラスだ。
農園見学は10月が本番。
ふじの収穫時期に合わせて訪ねた。
農家のおじさんに案内してもらって、木の前に立った。
「これ、食べていいよ」と言われてもいだ。
まだ木についていたものを、その場でかじった。
甘い。みずみずしい。
当たり前のことなのに、なぜか感動した。
スーパーのりんごとは、何かが違う。
温度が違うだ。
太陽の熱が残っている感じがした。
農園によっては直売もしている。
10キロ箱で2000〜2500円前後のことが多かった。
送料を考えても、十分すぎるくらい安い。
食べ比べをさせてもらって、王林とふじの違いがはっきりわかった。
名前だけ知っていたものに、やっと味がついた感じだ。