太平洋が見える駅から始まる旅がある。 日立は、派手さがない。 でもその分、本物だけが残っている街だ。 春の日立は特にいい。 サクラが風に散る中、神社の奥へ進んでいくと、 ここが茨城だということを忘れそうになる。 知っている人だけが来る、そういう場所がまだある。
日立のおすすめスポット
日立駅|海と空が、ガラスの向こうで混ざり合う
改札を出た瞬間、止まった。
ガラス張りのホームの向こうに、海がある。
ただそれだけのことなのに、なぜかジーンとした。
2011年に完成した日立駅の橋上駅舎。
設計は妹島和世。
駅のベンチに座って、ぼーっと水平線を見ている。
10分くらい、何もしていない。
天気がいい日は最高だ。
青い海と白い雲が、ガラスの中でパノラマになる。
曇りの日は曇りの日で、また違う表情がある。
カフェも併設されていて、コーヒー1杯500円ほど。
朝9時ごろに訪れると、光の角度がちょうどいい。
ここは「映える」という言葉が似合わない場所だ。
それより、「染みる」という感じがする。
日立に来たら、まずここへ。
荷物を持ったまま、しばらく立ち尽くしていい。
かみね動物園|丘の上の動物園は、懐かしいのに新鮮だ
「昭和の動物園」という言葉が頭に浮かんだ。
でも、それは悪口じゃない。
1956年開園。
料金は大人520円。
こんなに安くていいのか。
かみね公園の丘の上にあって、園内から海が見える。
キリンの首の向こうに太平洋が広がる光景は、
他の動物園では見られない。
春は桜が満開になる。
サクラとゾウが同じフレームに収まる不思議な写真が撮れた。
子どもたちがはしゃいでいる横で、大人もゆっくりできる。
混んでいない。
それが何より贅沢だ。
遊園地も隣接していて、家族連れには一日中過ごせる場所だ。
でも、ひとり旅でも全然楽しめる。
動物を見ながら、のんびりおにぎりを食べた。
そういう時間が、旅には必要だ。
混雑のピークは11時〜14時。
朝イチか夕方近くがおすすめだ。
御岩神社|188柱の神様が、山の中で待っている
鳥居をくぐった瞬間に、空気が変わった。
気のせいかな。
でも一緒に行った友人も同じことを言っている。
御岩神社は、日本随一のパワースポットと呼ばれる場所だ。
境内に188柱もの神様が祀られている。
NASAの宇宙飛行士が「日本に光の柱が見えた」と言った地点が
ここだという話も有名だ。
ただ、そういう話より、歩いていく道がよかった。
苔むした岩。
巨木の根。
薄暗い杉林の中を進んでいくと、
30分ほどで「かびれ神宮」に着く。
春は、参道のモミジが芽吹き始める時期。
緑が柔らかくて、光が透けている。
入山は無料だが、奥の院まで行くなら1時間半以上は見ておく。
動きやすい靴は必須。
ヒールで来ている人がいたが、途中で引き返している。
早朝6時ごろ。
まだ誰もいない参道で立ち止まった時間が、
この旅で一番よかった。