梅の香りに誘われて、水戸に来た。 東京から特急で1時間ちょっと。 そんな距離感なのに、着いた瞬間から空気が違う。 徳川家の城下町として栄えた歴史が、街の骨格にまだ残っている。 観光地然としていない、その素っ気なさがかえって好きだ。
水戸のおすすめスポット
偕楽園|梅2月、混雑3月、静けさは朝7時前にある
入園料は無料。
それを知ったとき、少し拍子抜けした。
約3,000本の梅が咲くのは2月下旬から3月上旬。
満開の週末は人で埋まる。
だから朝7時に来た。
観光客がほとんどいない時間帯の園内は、別の場所みたいだ。
白梅と紅梅が混在して、甘い匂いが低く漂っている。
足元の土が柔らかくて、霜が溶けかけている。
好文亭という建物が園内にある。
徳川斉昭が自ら設計に関わったと伝わる木造の別邸。
220円払って中に入ると、縁側から梅林がそのまま見下ろせた。
窓枠が額縁になる、という感覚を初めて理解した。
偕楽園は高台にある。
千波湖が眼下に広がる景色は、梅がなくても来る価値がある。
弘道館|勉強していた場所が、こんなに広かった
偕楽園から歩いて25分ほど。
水戸城の敷地に隣接するかたちで弘道館はある。
1841年創立の藩校。
つまり、ここで武士の子どもたちが学んでいた。
入場料は大人300円。
正庁と言われる建物に上がると、畳敷きの大広間が続く。
窓の外には梅の木。
偕楽園の梅は観賞用だが、弘道館の梅は別の意味を持つらしい。
梅は寒さに耐えて咲く。
藩校の精神と重ねて植えたと説明板にあった。
幕末、15代将軍・徳川慶喜はここに籠もった。
鳥羽伏見の戦いのあと、謹慎していた場所でもある。
歴史の教科書に出てくる人物が、この床に座っていたのかと思うと、妙な感覚になった。
建物自体は派手さがない。
でもその地味さが、本物っぽかった。
水戸城跡|城はないのに、なぜか城の気配がする
水戸城はもう存在しない。
天守閣も、石垣の大部分も、空襲と明治の廃城で失われた。
それでも来た。
跡地には今、高校と小学校が建っている。
学校の敷地を歩く感覚で、元・城郭を歩く。
この不思議な体験は、ここでしかできない。
2019年に復元された薬医門が残っている。
白木の柱が真新しくて、少し浮いた感じもする。
それでも、城跡特有の土の盛り上がりや空堀の痕跡が随所にあって、地形が当時のままだと気づいた。
大手橋から見る水戸市街の眺めが良かった。
台地の上にあるから、街が足元に広がる。
ここに城を築いた理由が、体でわかる。
所要時間は1時間もあれば十分。
でも、もう少しだけ長くいたくなる場所だ。
城好きなら必ず来るべき。