観音寺港からフェリーで約30分。 たどり着くのは、人口200人以下の小さな島。 でも、この島が産む「いりこ」は、日本中の料理人が欲しがる。 海の匂いと、煮干しの香りが混ざり合う路地を歩いたとき、 ここにしかない時間の流れがあると気づいた。
伊吹島のおすすめスポット
いりこ工場|朝4時から始まる、だしの源泉
工場見学は、事前に漁協へ連絡が必要だ。
それでも行く価値があった。
漁が終わるのは夜明け前。
水揚げされたカタクチイワシは、すぐに釜へ。
鮮度が命、と職人さんは言った。
ゆでて、干して、選別して。
機械もあるが、手作業の目が仕上がりを決める。
工場に入ると、磯の香りが鼻をついた。
くさい、というより、うまい匂い。
そう感じた瞬間、だしへの見方が変わった。
買えるのは、その場でパック詰めされたもの。
100gあたり400円前後。
スーパーで見かける薄い味とは、まるで別物だ。
帰ってすぐ、味噌汁を作った。
出汁の色が、いつもより少し黄金色だ。
伊吹島灯台|島の端に立つと、海しかない
港から歩いて20分ほど。
途中の路地は、すれ違うのがやっとの幅だ。
地元の人に道を聞いたら、「あの坂を上ったらわかる」と言われた。
坂は、思ったより急だ。
息が上がって、立ち止まって、また歩いた。
灯台に着いたのは、午後2時ごろ。
白い塔は、思ったより小さかった。
でも、そこから見える瀬戸内海の広さに、声が出た。
晴れた日の水面は、青というより銀色に近い。
対岸に見えるのは、愛媛の山々。
船が一隻、ゆっくり横切っていった。
観光地らしい整備は、何もない。
ベンチもない。売店もない。
ただ、風と海と、灯台がある。
それで十分だ。
15分くらい、ぼーっと立っている。
伊吹八幡神社|石段の先に、島の記憶がある
島の中心部に、ひっそりとある神社。
鳥居をくぐると、空気が変わる気がした。
石段は全部で50段ほど。
苔が生えていて、滑りそうだ。
一段一段、ゆっくり上がる。
境内には、大きな楠の木が一本。
幹の周囲は、両手を広げた大人が3人ぶんくらい。
樹齢は数百年と言われているらしい。
触れると、何かが伝わってくる気がした。
それが何かは、うまく言えない。
昔、漁師たちはここで大漁を祈った。
今も、島に残る人たちが手を合わせに来る。
お祭りは秋。
島外から帰ってくる人も多いと聞いた。
この神社が、島をつなぎ止めているだ。
観光客らしき人は、誰もいない。
それが、むしろよかった。
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伊吹島への行き方
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