東北新幹線を一ノ関で降りて、ローカル線に乗り換える。 車窓の景色がだんだんのどかになっていく。 平泉は、そういう場所だ。 奥州藤原氏が約100年かけて築いた「黄金の都」。 今もここには、その残り香がある。 歴史の重さが、空気に混じっている感じがした。
平泉周辺のおすすめスポット
中尊寺金色堂|850年分の静寂が、4坪の金に詰まっている
参道の月見坂を歩くこと約15分。
坂がきつい。
途中で息が上がる。
でもその分、到着したときの達成感がある。
金色堂そのものは、思ったより小さい。
4坪ほどしかない。
覆堂(おおいどう)に守られた中に、それはある。
照明に浮かぶ金は、ギラギラしていない。
じわっと輝いている。
螺鈿細工の細かさに、思わず顔を近づけた。
近づいても、近づいても、細かい。
拝観料は800円。
9時〜17時(11〜3月は16:30閉門)。
境内自体は無料で入れるが、金色堂は別途チケットが必要。
混雑は平日午前中が比較的ましだ。
10時前に着くと、まだ静かだ。
ここだけで1時間以上いたくなる。
毛越寺|庭が、これほど雄弁に語るとは思っていない
金色堂の「密度」に比べて、毛越寺は「広さ」だ。
どこまでも続く大泉が池。
水面が静かで、空を映している。
12世紀の浄土庭園がこれほどの状態で残っているのは、正直驚いた。
建物はほとんど残っていない。
でも庭だけで、十分に伝わってくる。
「ここに都があった」という事実が、水の向こうに見える気がした。
それは錯覚だ。
でも、そう感じさせる庭の力がある。
拝観料は700円。
5月の曲水の宴、1月の延年の舞など、祭事も多い。
タイミングが合えばぜひ。
池の周りをゆっくり一周すると約40分。
急がないほうがいい。
早足で見るような場所ではない。
達谷窟|岩に刻まれた顔が、ずっとこちらを見ている
平泉駅からバスか車で約10分。
観光客が一気に少なくなる。
巨大な岩壁に、お堂が張り付いている。
初めて見たとき、少し怖かった。
京都の清水寺に似た構造だが、スケールも雰囲気も全然違う。
ここはもっと、野生的だ。
岩面大仏は高さ約17メートル。
今は風雨で顔がほぼ消えている。
でも、目の位置だけはなんとなくわかる。
その「目」が、こちらを見ている感じがした。
坂上田村麻呂が蝦夷征討の後に建立したと伝わる。
9世紀の話だ。
そう思いながら岩壁を見上げると、重さが変わってくる。
拝観料は500円。
団体ツアーがほとんど来ない。
静かに、じっくり向き合える場所だ。