石段を踏むたびに、湯の匂いがした。 冬の伊香保は、空気ごと温かい。 群馬の山の中にひっそり積み重なった365段の石段街。 観光地というより、生活の延長線上にある温泉町。 だから飽きない。 だから何度でも来てしまう。
伊香保温泉のおすすめスポット
伊香保石段街|365段、のぼるほどに昭和が濃くなる
石段の数は、365段。
1年の日数と同じと聞いて、妙に納得した。
下から見上げると、両脇にずらりと並ぶ温泉旅館や土産屋。
射的場がある。
湯饅頭を焼いてる店がある。
昭和のにおいがぷんとする。
冬の朝8時ごろに訪れたら、観光客がほぼいない。
石段に薄く霜が降りていて、足元がひやりとした。
上るほど静かになっていく。
旅館から湯気が立ち上っている。
石段の途中に「黄金の湯」の源泉がある。
鉄分を含んだ茶褐色のお湯。
なめると、少ししょっぱい。
上りきったところで振り返ると、群馬の山並みが見える。
冬晴れの空と、赤茶けた温泉街の屋根。
この景色だけで、来た価値があった。
石段街の食べ歩きは、温泉たまごが外せない。
1個100円。
白身がつるりとして、黄身が濃い。
冷えた手に熱いたまごが、ちょうど良かった。
伊香保神社|石段の頂点にある、静かな終着点
365段の石段を上りきった先に、伊香保神社がある。
そこだけ空気が変わる気がした。
賑やかな石段街から一転、しんとしている。
創建は1500年以上前とも言われる古社。
温泉の神様を祀っているらしい。
参拝客は多くないけれど、地元の人がちらほら来ている。
冬の境内は、霜柱が立っている。
ふみしめるとサクッと音がする。
石の狛犬が、霜で白く縁取られている。
手水舎のお湯が温泉だ。
これに気づいたとき、少し声が出た。
温泉地の神社らしいというか、贅沢というか。
拝殿の奥が少し見えて、古い木の感触が伝わってくるような空間だ。
派手さは何もない。
でも、ここで静かに手を合わせると、旅が一度リセットされる感じがした。
石段の喧噪を抜けてたどり着く場所として、ちょうどいい。
参拝に5分もかからないけれど、15分くらいぼんやりしてしまった。
河鹿橋|冬でも来る価値がある、朱塗りの橋
石段街から歩いて10分ほど。
渓流沿いに、赤い橋がかかっている。
河鹿橋。
秋の紅葉で有名な場所だけど、冬に来たら別の顔があった。
葉がすべて落ちた木々の間から、朱色の橋がくっきり見える。
余計なものが何もない。
橋そのものが浮き上がって見える感じ。
橋の下を流れるのは、温泉が混じった川。
湯気が薄く立ち上っていて、川の色が少し茶色っぽかった。
冬なのに、橋のたもとだけ暖かい。
橋の名前の由来は「カジカガエル」。
夏になると、河鹿蛙の鳴き声が響くらしい。
冬はしんとしていて、川音しかしない。
ライトアップが夜もあると宿の人に教えてもらった。
紅葉の時期は大混雑するらしいが、冬の平日夜は貸切に近かった。
照らされた朱色の橋と、川面の反射。
写真を撮るなら冬の夜がねらい目だ。
ここまで来たら、すぐ脇の「飲泉所」に立ち寄ってほしい。
温泉を直接飲める場所が無料で開放されている。
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伊香保温泉への行き方
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