朝7時、高松駅を出た瞬間に気づく。 この街の空気は、どこかゆっくり流れている。 うどんを食べに来た。 庭園を見に来た。 でも本当は、この街の「ちょうどいい余白」に会いに来ただ。 瀬戸内の光と、讃岐の風と、1000年分の時間が、コンパクトな街に全部詰まっている。
高松のおすすめスポット
栗林公園|江戸時代の庭師が、ここに全部置いていった
入園料410円。
この値段で、本当にいいのか。
正門をくぐった瞬間、空気が変わった。
木が深い。
水が静かすぎる。
6つの池と13の山が、54万平方メートルに広がっている。
東京ドーム約11個分。
でも広さより、「密度」に圧倒された。
南湖沿いを歩いていると、水面に松が映り込む。
風が吹くたびに、その映像が揺れる。
カメラを向けたまま5分、動けない。
朝9時台に入るのがいい。
観光客が少なく、鯉の音しかしない時間がある。
茶屋「掬月亭」では、抹茶と和菓子のセットが700円。
縁側に座って、南湖を眺めながら飲む一杯。
これが正解だ。
「特別名勝」の指定を受けた庭園は日本に17しかない。
栗林公園はその一つ。
でもそんな肩書きより、ただ美しかった、という記憶の方が残っている。
玉藻公園(高松城)|海の上に建っていた城の、静かな残骸
高松城は、海に浮かぶ城だ。
今は埋め立てられているが、堀には今も海水が引き込まれている。
入園料200円。
安すぎて少し申し訳ない気分になる。
天守閣はすでにない。
1884年に取り壊された。
でも月見櫓と水手御門が残っていて、その佇まいが静かにかっこいい。
堀の中に、鯛が泳いでいる。
本当に鯛。
海水だから生きている。
柵から覗き込むと、悠々と泳ぐ姿が見える。
観光客は栗林公園に比べて少ない。
平日の午前中はほぼ貸し切り状態だ。
石垣の上から瀬戸内海を見渡す。
高松港のフェリーが、ゆっくり動いているのが見える。
城跡というより、「跡地の美しさ」を楽しむ場所だ。
消えた天守閣の位置を想像しながら歩く。
その想像の余白が、ここの魅力だ。
讃岐うどんめぐり|朝7時から行列に並ぶ人たちの気持ちが、わかった
高松のうどんは、安くて、早くて、うまい。
その三拍子が揃いすぎている。
最初に入ったのは「がもううどん」。
坂出市にある田んぼの中の店で、開店は8:30。
7:45に着いたらもう10人並んでいた。
かけうどん小、1玉140円。
天ぷらを1個選んで、合計300円を少し超えるくらい。
外のベンチで食べる。
麺がつるっとして、出汁が透き通っていて、思わず口が開いた。
次に「山越うどん」へ。
釜玉うどんが有名で、生卵をからめて食べる。
1玉230円。
卵の甘さと醤油の塩気と、もちもちの麺が混ざる瞬間、完全に理解した。
これが「釜玉」か、と。
うどんめぐりは、1軒1軒が軽いから3〜4軒はしごできる。
午前中に2〜3軒まわって、昼前に終わるのが地元流らしい。
胃袋より時間の問題だ。
高松のうどんは、食文化じゃなくて「生活」だ。