瀬戸内海に面した小さな港町、観音寺。 派手な観光地じゃない。 でも、来た人だけが知っている景色がある。 砂で描かれた巨大な銭形。 波音が聞こえる境内。 そして、夕暮れの有明浜。 静かで、少しだけ特別な時間が流れている町だ。
観音寺のおすすめスポット
琴弾公園・銭形砂絵|展望台から見下ろした瞬間、声が出た
「見てから健康で長生きできる」という言い伝えは知っている。
でも正直、砂絵ってそんなに大したことないだろう。
展望台への道は整備されていて、5分も歩けば着く。
そこから見下ろした瞬間、思わず「あ」と声が出た。
直径122メートル。
砂浜にくっきりと描かれた「寛永通宝」の文字。
空から見るために作られた砂絵なんて、日本にそうそうない。
1633年に描かれたというから、約400年前の話だ。
不思議なのは、どの角度から見ても正円に見えること。
実際は楕円形に作られているらしい。
計算して作ったのか、経験で知っていたのか。
江戸時代の人間の技術に、素直に驚いた。
展望台は無料で入れる。
夕方に行くと、光の向きで砂絵の陰影がくっきり浮かぶ。
できれば午後3時以降に行くのをすすめたい。
神恵院・観音寺|日本唯一、二つの札所が同じ境内にある
四国八十八か所霊場で、同じ境内に2つの札所が並ぶ場所は、ここだけらしい。
第68番・神恵院と第69番・観音寺。
地元の人に教えてもらうまで、そんな事実を知らない。
境内に足を踏み入れると、空気が少し変わる気がした。
杉の木が高く、光が細く差し込む。
お遍路さんが静かに手を合わせている。
神恵院の本堂は、コンクリート打ちっぱなしの現代建築。
観音寺の本堂は、歴史のある木造。
同じ境内に、全然違う2つの建物が立っている。
その対比が面白い。
仁王門をくぐったあとの石段が、ちょっと急だ。
雨の日は滑りやすいので注意がいる。
早朝に行くと人が少なく、静かに歩ける。
朝7時ごろはお遍路さんが読経していて、その声が境内に響いている。
そういう時間帯の方が、この場所の本来の姿に近い気がする。
有明浜|砂浜が4キロ続く。ただそれだけで、十分だ
銭形砂絵の真下に広がる浜が、有明浜だ。
全長約4キロメートル。
まっすぐ続く砂浜を、ひたすら歩いた。
夏場は海水浴客でにぎわうらしいが、行ったのは10月の平日。
人はほとんどいない。
波の音と、遠くに見える燧灘(ひうちなだ)の青だけがあった。
砂は白くて細かい。
裸足で歩いていると、足の裏に気持ちよくなじむ。
思わず30分以上歩いてしまった。
振り返ると、琴弾山が見える。
あの山の上に展望台があって、さっきまであそこから浜を見下ろしている。
その往復がなんとも良かった。
夕方になると、海に向かって光が落ちていく。
カメラを持っている人が数人、同じ方向を向いている。
観音寺の夕日は、わざわざ時間を合わせる価値がある。
日没の30分前には浜に出たい。