海から城が見える町、というのは珍しくない。 でも唐津は違う。 城も、松原も、古い商人の屋敷も、全部が「ちょうどいい距離」にある。 歩いて回れる。疲れたら海が見える。 そういう町だ。 新幹線じゃなく、ローカル線で来たくなる場所がある。 唐津は、そういう町のひとつだ。
唐津のおすすめスポット
唐津城|朝8時、天守閣には誰もいない
入場料500円。
エレベーターもある。
でも階段で上った。
5層の天守閣、最上階まで10分もかからない。
そこから見える景色が、正直すごかった。
玄界灘がどこまでも広がって、眼下に虹の松原が帯のように続いている。
「あ、ここから見るためにあるんだ」。
朝イチで行ったのが正解だ。
9時を過ぎると観光バスが来る。
8時台はほぼ貸し切りに近い静けさで、風の音だけが聞こえる。
築城は1602年、寺沢広高の時代。
今の天守は昭和の復元だけど、石垣はちゃんと本物。
満島山の上に立つ姿は、海側から見ると絵みたいだ。
お堀には白いスワンボートが浮かんでいて、なぜかそれが妙に好きだ。
虹の松原|日本三大松原、歩いてわかったスケール感
長さ約4.5キロ。
幅は広いところで700メートル。
100万本のクロマツが並ぶと言われている。
数字で聞いても、正直ピンとこない。
歩いてみて、ようやくわかった。
デカい。とにかくデカい。
松と松の間から差し込む光が、刻々と変わっていく。
午後3時ごろが特によかった。
斜めに入る光が、砂の上に影の縞模様を作った。
国の特別名勝に指定されているから、松の枝1本も持ち出せない。
そのくらい厳重に守られてきた場所だ。
江戸時代から400年以上、手入れをし続けてきた人たちがいる。
唐津城側の入口から松原を抜けると、海岸に出る。
砂浜に誰もいない時間があった。
玄界灘の波音だけが聞こえる。
それで十分だ。
旧高取邸|炭鉱で稼いだ男の、使い切れなかった富
入場料520円を払って中に入った瞬間、思わず立ち止まった。
玄関だけで、もう圧倒される。
高取伊好(たかとりこれよし)は明治の炭鉱王。
1905年に建てたこの屋敷、延床面積は2800平方メートルを超える。
和館・洋館・能舞台が全部ある。
ガイドのおじさんに「2時間あっても全部は見切れないよ」と言われた。
本当にそうだ。
特に能舞台が面白い。
屋内に本格的な能舞台があって、今でも年に数回使われているらしい。
木の床が、踏むたびにわずかに響く。
庭も丁寧に作り込まれている。
石灯篭の配置、池の形、どこを切り取っても絵になる。
ここを見た後、唐津の近代史がずいぶんクリアに見える。
炭鉱があって、富が集まって、この屋敷が生まれた。
建物は正直に、時代を映している。