鹿児島港からフェリーで約3時間。 たどり着いた先に、こんな場所があったのか。 観光地化されていない、ぶっきらぼうなほど本物の自然。 砂浜に人はいない。 海の色に名前がつけられない。 そういう島が、まだ日本に残っている。
甑島のおすすめスポット
なかまで|島の台所で、知らないおばちゃんと仲良くなった
里港から歩いて5分もかからない。
外観は普通の民家みたいで、看板を見なければ通り過ぎる。
引き戸を開けると、厨房からおばちゃんの声が飛んでくる。
「何にする?」
メニューは黒板に手書き。
キビナゴの刺身定食が900円。
これが、正直びっくりするほど旨かった。
水揚げから数時間しか経っていないキビナゴは、臭みがゼロ。
酢味噌につけて食べると、甘みがある。
隣に座った常連らしいおじさんが「島の魚は東京で食うのと別物だろ」と言った。
その通りだ。
昼時は混む。
11時半には到着しておいた方がいい。
観光客向けに気を遣っている感じが全然なくて、それが逆に心地よかった。
島に来たんだなと、箸を置きながら思った。
長目の浜|4kmの砂州が、海を三つに切り分けている
地図で見たとき、意味がわからない。
実際に来て、やっと理解した。
全長約4kmの細い砂州が、外海と3つの湖(貝池・なまこ池・鍬崎池)を分断している。
その幅、場所によっては数十メートルしかない。
片側は太平洋。
もう片側は穏やかな池。
展望台から見下ろしたとき、声が出ない。
風が強くて、砂が顔に当たった。
それでも動けない。
浜を歩いてみると、波の音が両側から聞こえる。
なんとも奇妙な感覚だ。
足元の砂は白くて細かい。
貝殻が混じっている。
人が2組しかいない。
これだけの景色に、2組。
「秘境」という言葉を安易に使いたくないけど、ここはそう呼んでいい。
夕方16時ごろ、光が斜めになった時間帯が特に美しかった。
甑大明神磐境|崖の先に立つと、神話の話が嘘じゃない気がした
正直、行くまでが大変だ。
車を止めて、草をかき分けるような細道を歩く。
案内板がひとつあるだけで、整備された感じはほとんどない。
それでも着いた先の光景は、別格だ。
海に向かって突き出た岩盤の上に、巨石が並んでいる。
柵も手すりもない。
足元は崖。
下は東シナ海。
ここが古代の祭祀場だったと聞いても、何も驚かない。
人間の手が入っていない場所に、確かに何かがある感じがした。
理屈じゃなくて、身体がそう言う。
風が強い日だ。
帽子を押さえながら、しばらくそこに立っている。
波の音だけが聞こえる。
観光地として整備されていないのが、むしろ正解だ。
ここに遊歩道を作ったら、違うものになってしまう。
訪れる人が少ないからこそ、今もこの空気が残っている。
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甑島への行き方
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