鹿児島港からフェリーで約3時間半。 屋久島を経由して、さらに先へ。 たどり着いた島には、今も煙を上げる火山があった。 人口は150人ほど。 コンビニも信号もない。 それなのに、なぜか何日でもいられる気がした。 口永良部島は、そういう島だ。
鹿児島県の屋久島から西へ約12kmに浮かぶ口永良部島は、活火山・新岳を抱える秘境の離島だ。口永良部島港に降り立った瞬間、硫黄と潮が混じり合う独特の香りが鼻をつく。島の各所に湧く湯向温泉は乳白色の湯が肌にまとわりつくほど濃厚で、火山が今も島を生かしていることを実感させる。江戸時代から薩摩藩の支配下に置かれた歴史を持ち、集落には古い石積みが残る。新岳が噴煙を細く上げる様子を眺めながら浸かる露天の静寂は、本土では決して得られないものだ。
口永良部島のおすすめスポット
口永良部島港|船が着いた瞬間、空気が変わった
フェリー「フェリー太陽」が港に近づくにつれ、
島のシルエットが少しずつ大きくなる。
山肌から白い煙がのぼっているのが見える。
火山が生きている。
その事実が、目に入ってくる。
桟橋に降り立つと、出迎えてくれたのは島の人が数人だけ。
荷物の受け渡しをするおじさんが「どっから来たの」と話しかけてきた。
そういう距離感の島だ。
港のすぐそばに売店が1軒ある。
島で唯一に近い購買拠点だ。
飲み物と軽食を買える。
到着してすぐ「ここで全部揃えなきゃ」と焦った。
それが口永良部島のリアルだ。
フェリーは1日1便。
逃したら翌日まで待つしかない。
その事実が、旅のテンションを一気に引き締めた。
新岳|火口まで1.5km。煙が、すぐそこにある
新岳は標高626m。
数字だけ聞けば大したことなさそうに思える。
でも2015年に噴火した火山だ。
登山口に立つと、その現実をあらためて感じた。
登山には事前に火山状況の確認が必要だ。
気象庁の噴火警戒レベルが1のときのみ入山できる。
島の宿で「今日は大丈夫ですか」と聞いたら、
おばさんが携帯でさっと調べてくれた。
そういう確認が、日常になっている島だ。
登山道は整備されているが、ぬかるみが多い。
雨上がりだったせいもあって、靴はすぐに泥まみれになった。
40分ほど歩くと視界が開けて、火口近くの荒涼とした景色が広がった。
硫黄のにおいがする。
風向きによっては目が痛くなるほど濃い。
ここは本当に生きている山だ。
頂上からは東シナ海が見える。
その青さと、荒れた火口の対比が忘れられない。
湯向温泉|無料で、野趣あふれて、最高だ
島の北側にある湯向(ゆむぎ)地区。
そこに、無料で入れる温泉がある。
外観は小屋みたいな建物だ。
期待値を下げて中に入ると、湯船がひとつ。
シンプルすぎて笑った。
でも、お湯が本物だ。
硫黄泉で、少し白濁している。
源泉かけ流し、というか、ほぼ野湯に近い感覚だ。
泉温は45度前後で、最初は熱くて入れないくらいだ。
地元のおじいさんが水でうめながら「ゆっくり入りなよ」と言ってくれた。
窓の外には木々が茂っていて、
湯気とともに島の空気が入ってくる。
観光地化されていない温泉というのは、こういうものだ。
登山の後に立ち寄ったのだが、
泥だらけの靴と疲れた脚が、じわじわとほぐれていった。
料金は無料。
そのことに、むしろ申し訳なくなった。
モデルコース
口永良部島への行き方
📍 Googleマップで見る →宿数が少ないため早めの予約を。
鹿児島を拠点に口永良部島へ日帰り・宿泊の旅も便利です