岩手の北端近く、三陸の海に面した町・久慈。 ここに来るまで、正直なめている。 「琥珀と海があるだけでしょ」。 違った。 数千万年前の時間が手のひらに収まり、 断崖に打ちつける波の音が体の芯まで届く。 久慈は、スケールで殴ってくる町だ。
久慈のおすすめスポット
久慈琥珀博物館|8500万年前が、手のひらに乗っている
久慈市郊外の丘の上にある。
バスで向かうと、思ったより山の中だ。
入館料は大人700円。
そこまで高くない。
でも、中に入った瞬間に思った。
これ、700円じゃ申し訳ない。
展示の琥珀は、8500万年前のものが中心だ。
恐竜が生きていた白亜紀の話をされても、頭が追いつかない。
ただ、薄黄色の塊の中に虫の翅が閉じ込められているのを見て、
時間という概念がバグった。
採掘体験が1100円で受けられる。
実際にツルハシを使って岩を削り、琥珀を探す。
30分、本気で夢中になった。
岩から小さな琥珀のかけらが出てきたとき、
声が出た。
持ち帰れる。それがまたいい。
博物館の隣に露天掘り跡の見学エリアもあって、
スケールに足が止まる。
ここで人間が何十年もかけて山を掘り続けた、という事実が重い。
小袖海岸|なぜここに、こんな景色があるのか
久慈駅から車で約30分。
海女さんの里として知られる小袖海岸に着いた。
NHKの朝ドラ「あまちゃん」の撮影地、と聞いている。
だから観光地的な雰囲気を想像している。
全然違った。
駐車場から崖を下りると、突然視界が開ける。
リアス式の断崖に囲まれた入り江。
海の色が、緑に近い青だ。
波の音がうるさいくらい大きい。
風も強い。
正直、穏やかな場所ではない。
でも、それがいい。
「北限の海女」の素潜り実演は夏季限定で、
7月〜9月の特定日に開催される。
タイミングが合えば、絶対に見るべきだ。
冷たい海に素潜りする海女さんの姿は、
観光コンテンツとか、そういう言葉で括るのが失礼なくらいだ。
遊歩道を歩くと、
「あの断崖の向こうに何があるんだろう」という好奇心が止まらない。
1時間では足りない。
久慈駅|終点の空気が、旅を締める
三陸鉄道リアス線の北の終点。
「終点」という言葉の持つ引力が、久慈にはある。
ホームに降り立つと、海の匂いがした。
駅舎は小さい。
JRとの共同使用駅で、構内に「道の駅くじ」が隣接している。
「あまちゃん」の主人公アキが働く「袖ヶ浜駅」のモデルになった駅だ。
ロケで使われたセットの一部が今も残っていて、
それを見ながらコーヒーを飲んでいる地元のおじさんがいた。
その光景が、妙にリアルでよかった。
道の駅では久慈産の海産物や、琥珀のアクセサリーが買える。
ウニが名物で、6〜8月はウニ丼を出す食堂に行列ができる。
食べた。
磯の香りが濃くて、甘くて、
「ウニってこういう食べ物だったのか」と思い直した。
帰りの三陸鉄道に乗る直前、
ホームから見える空が広かった。
終点まで来た、という実感がようやく来た。
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久慈への行き方
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