東京から電車で90分。 そんな近さなのに、真鶴は別の時間が流れている。 石畳の路地、漁師の声、磯の匂い。 リゾートでも観光地でもない、ただそこに暮らしがある町。 それが、なぜか何度も足を向けさせる。
真鶴のおすすめスポット
真鶴岬|半島の先端で、海に飲み込まれそうになった
バスを降りて、松林の中を10分ほど歩く。
観光客の声が遠くなっていく。
足元は砂利と松葉で、ひんやりしている。
そして突然、視界が開ける。
眼下に広がるのは相模湾。
水平線の向こうに初島、伊豆半島。
晴れた日は大島まで見える。
岬の先端には三ツ石が見える。
ここから眺めるか、海岸まで降りるか。
欲張って両方行った。
夕方近くに来ると、光の色が変わる。
空がオレンジになって、海が金色になる瞬間がある。
そこに人がいない。
贅沢だ。
岬周辺は「ケープ真鶴」という施設があるが、目当ては展望台の端っこ。
フェンス越しに風を受けながら立つ、それだけでよかった。
三ツ石海岸|干潮の時間だけ、渡れる岩がある
これを知らずに行ったら、ただの岩だだ。
干潮のタイミングに合わせると、岩まで歩いて渡れる。
その道を「トンボロ現象」と呼ぶらしい。
潮が引いた砂の道が、水に挟まれてできあがる。
朝8時ごろ、人がまだほとんどいない。
長靴を借りるか、裸足で行くか迷って、裸足にした。
冷たかった。でも気持ちよかった。
岩の上に立つと、真鶴半島が正面に見える。
来た方向を振り返ると、こんな距離を歩いてきたのかと驚く。
注意が必要なのは時間だ。
干潮の前後2時間くらいが目安。
潮位表を事前に調べておかないと、渡れない。
失敗した人を見た。岸で眺めているだけだ。
悔しそうだ。
三ツ石は神奈川県の天然記念物にもなっている。
それより、あの砂の道を歩いた感触の方を覚えている。
琴ヶ浜|石が鳴く浜辺で、しばらく動けない
砂浜ではない。
丸い石が敷き詰められた、珍しい浜だ。
歩くたびに、カラカラと音がする。
石と石がぶつかる、その音が浜全体に響く。
波が引くたびに、石が動いて鳴く。
「琴ヶ浜」という名前の意味が、立ってみて初めてわかった。
午後2時ごろに行った。
観光客は数人しかいない。
みんな黙って座っている。
石の上に腰を下ろして、波の音と石の音だけを聞いた。
30分は動かない。
浜辺の石を持ち帰ってはいけない。
看板に書いてあった。
でも写真は撮った。
何枚撮っても、あの音だけは写らない。
夏は海水浴場になるが、9月以降は人が減る。
静かな琴ヶ浜を歩きたいなら、秋がいい。
石の色が変わって見える。