福島の南端、山に囲まれた盆地。 そこに「南会津」はある。 アクセスが不便で、冬は雪に閉ざされる。 だからこそ、ここは今もここのままだ。 茅葺きの屋根、静かな湿原、硫黄の匂いのしない透明な湯。 派手な観光地に疲れたとき、人はここへ来る。 そういう場所だ。
南会津のおすすめスポット
駒止湿原|標高1,100m、誰もいない湿原で立ち止まる
6月下旬、ニッコウキスゲが咲き始めた頃に訪れた。
駐車場から歩いて15分ほど。
木道に出た瞬間、視界がひらけた。
広い。
とにかく広い。
東北最大級の高層湿原と後から知ったが、そんな言葉より、あの静けさのほうが正確だ。
風が草を揺らす音だけが聞こえる。
7月になるとワタスゲが白く揺れる。
8月にはハクサンフウロが紫に染まる。
季節ごとに顔が変わる湿原だ。
冬季(11月〜5月)は閉鎖される。
その期間、ここには人間が入れない。
そう思うと、夏に踏み込む足が少し重くなった。
木道は全長3kmほど。
スニーカーで歩けるが、雨の日は滑る。
長靴を持っていくほうが正直おすすめだ。
舘岩温泉|白濁しない、でも体の芯まで温まる湯
南会津の温泉は、派手じゃない。
白くも、硫黄臭くもない。
無色透明で、においもほとんどしない。
最初は「薄いのかな」。
湯船に浸かって5分。
指先がじんじんしてきた。
泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉。
pHは7.8前後の弱アルカリ性。
「美人の湯」という言葉がどこかに書いてあったが、確かに上がってから肌がしっとりした。
舘岩地区には小さな宿が点在している。
1泊2食付きで1万2千円前後の宿が多い。
夕食に出てくる山菜と川魚が、東京では絶対に食べられないものだ。
日帰り入浴も受け付けている宿が多い。
料金は500円〜800円ほど。
午後2時〜4時が受付時間のところが多いので、事前に電話確認を。
夜、宿の窓から見た星が忘れられない。
街灯がほとんどないから、星が多すぎて空がうるさいくらいだ。
南会津の茅葺き民家|雪の重さを、屋根が受け止めている
前沢曲家集落に着いたのは、2月の午後だ。
雪が70cmは積もっている。
茅葺きの屋根に、雪が重なっている。
人の気配はほとんどない。
煙突から煙が細く上がっている。
ここには今も人が住んでいる。
観光施設じゃない、現役の集落だ。
「曲家」とは、母屋と馬屋がL字型につながった民家のこと。
雪の多い会津で、人と馬が同じ屋根の下で冬を越すために生まれた形だ。
集落内に1軒だけ、見学できる「前沢曲家資料館」がある。
入館料は200円。
囲炉裏の火が焚かれていて、中はほんのり温かかった。
天井の高さと、梁の太さに圧倒された。
集落を歩くとき、静かにしてほしい。
写真を撮るのはいいが、民家の敷地に入ってはいけない。
当たり前のことだけど、念のため。
冬にここへ来てよかったと、心から思った。
夏の姿も見てみたい、と今も思っている。
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南会津への行き方
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