鹿児島市内から車で2時間以上。 フェリーを乗り継いで、さらに山道を走る。 そこまでしてたどり着く場所が、南大隅にある。 本土最南端の岬。 対岸に浮かぶ開聞岳のシルエット。 誰もいない温泉。 「遠い」という事実が、この旅を特別にする。
南大隅のおすすめスポット
佐多岬|ここより南に、本土はない
駐車場から遊歩道を20分ほど歩く。
舗装はされているが、けっこう急だ。
両脇は亜熱帯の植生。
ソテツが普通に生えている。
「ここ、本当に日本か」と何度も思った。
展望台に出た瞬間、息が止まる。
視界いっぱいに広がる太平洋。
種子島と屋久島が、雲の下にうっすら見える。
風が強くて、声を出しても飛んでいく。
北緯31度、本土最南端。
標識の前で写真を撮る人は多い。
でも本当は、その先の海を、しばらく黙って見てほしい。
夕方16時以降は駐車場が閉まる。
時間には余裕を持って来ること。
入場料は無料になったが、駐車場代300円がかかる。
遊歩道は濡れると滑るので、スニーカー必須だ。
根占温泉|誰もいない、海を見ながら浸かる朝
朝8時に行ったら、先客がいない。
ほぼ貸し切り状態で、1時間いた。
根占温泉は、錦江湾に面した小さな温泉施設だ。
内湯から海が見える。
湯温は42度くらい。
ぬるっとしたアルカリ性の湯が、肌に残る感じがする。
窓の外に開聞岳が見える。
薩摩半島の先端に立つあの山が、
対岸からこんなにくっきり見えるとは思っていない。
入浴料は200円。
地元のおじさんたちが普通に使う施設だ。
シャンプーやボディソープは備え付けがない。
持参するか、フロントで購入できる。
観光客向けにきれいに整えられた温泉ではない。
それがいい。
地元の日常に、少しだけ混ぜてもらえる感覚がある。
対岸の開聞岳|薩摩富士は、離れて見るほど美しい
開聞岳には登ったことがある。
でも、南大隅から見る開聞岳は別物だ。
錦江湾を挟んで、距離にして約30キロ。
海の上に、円錐形の山がぽんと浮いている。
佐多岬の遊歩道からも見える。
根占温泉の窓からも見える。
宿の縁側からも、朝起きると見える。
天気によって表情がまったく違う。
快晴の日は稜線がくっきりして、息をのむほど端整だ。
曇りの日は雲をまとって、神話の山みたいになる。
どのアングルが好きかと聞かれたら、
根占の海岸線から夕方に見る姿、と答える。
オレンジの光に染まった湾の奥に、
影絵みたいな開聞岳が立っている。
5分ほど、ぼんやり見続けている。
カメラを出すのを忘れるくらい、きれいだ。