標高1,100メートル。 そこに、空気が違う場所がある。 秩父の奥地、三峯。 バスで2時間かけてたどり着く山の上に、 あの神社は静かに立っている。 霧が出ている。 鳥居をくぐった瞬間、 体がざわっとした。 そういう場所だ。
三峯のおすすめスポット
三峯神社|霧の中に立つと、なぜか背筋が伸びた
西武秩父駅からバスに乗り、終点まで約75分。
そこがすでに別の世界だ。
随身門をくぐると、左右に巨大な狛犬。
ここの狛犬はオオカミだ。
全国でも珍しい、狼を祀る神社。
拝殿はとにかく色彩が濃い。
赤と金と緑。
日光に似た重厚さがあった。
御眷属拝借という珍しい祈願がある。
オオカミの像を1年間借りて、家を守ってもらうもの。
ご祈祷料は3,000円。
境内の奥、奥宮参道へと続く道があった。
人が少なくなる。
木の根が地面を這い、苔が厚く積もっている。
空気が湿っている。
ひんやりしている。
静かすぎて、自分の呼吸が聞こえる。
「パワースポット」という言葉をよく見かけるけれど、
ここは確かに、何かある気がした。
言語化できない何かが。
妙法ヶ岳|息が切れた先に、雲海があった
三峯神社の奥宮は、実は山の頂上にある。
妙法ヶ岳、標高1,332メートル。
三峯神社の奥宮参道入口から、片道約90分。
登山道といえばそうだが、整備はされている。
ただし、なめると痛い目に遭う。
急登が続く。
息が上がる。
足元が滑る場所もある。
登り始めて1時間ほど、視界が開けた。
思わず声が出た。
雲海だ。
秩父盆地が、白い雲の絨毯に沈んでいた。
山頂の奥宮が霧の向こうに浮かんでいた。
奥宮の小さな社は、岩の上に鎮座している。
そこに立つと、三峰の尾根が連なって見える。
下山は慎重に。
膝に来る。
登山靴は必須だ。
スニーカーで来ていた人が、途中で引き返している。
山頂の気温は、夏でも20度を下回ることがある。
一枚、羽織るものを持っていくべきだ。
興雲閣|山の宿は、夜が一番よかった
三峯神社の境内に宿がある。
興雲閣。
神社が直営する宿泊施設だ。
1泊2食付きで、1人15,000円前後。
夕食は広間で。
山菜や川魚が並んだ。
驚いたのは、夕食後の境内だ。
観光客がほとんどいなくなる。
提灯の灯りだけが残る参道を、
ひとりで歩いた。
昼間とはまるで別の場所だ。
木々の向こうに星が見える。
朝は5時起き。
朝のご祈祷に参加できる。
宿泊者だけの特典だ。
早朝の境内は霧に包まれている。
太鼓の音が山に響いた。
日帰りだと絶対に体験できない時間がある。
ここは、泊まってこそだ。
翌朝のバスは8時台から。
帰りも山道を1時間以上揺られる。
ゆっくり朝ごはんを食べてから出発した。