都城は、静かだ。 鹿児島との県境に近く、霧島の山々が空を区切る。 派手な観光地じゃない。 でも、一度来ると、妙に戻りたくなる場所がある。 焼酎の香りと、広い空と、神様の気配が混ざった町。 そういう旅が、たまに必要だ。
都城のおすすめスポット
霧島神宮|鳥居をくぐった瞬間、空気が変わった
都城から車で約40分。
鹿児島県霧島市に入ると、空気が変わる。
樹齢数百年の杉並木が、参道の両側にそびえる。
高さ30メートルを超える木が、空を狭くする。
それがいい。
拝殿の朱色が、緑の中に浮かんで見える。
御祭神はニニギノミコト。
天孫降臨の神話が、ここでは現実感を帯びる。
参拝を終えて石段を下りると、遠くに桜島が見える。
天気が良ければ、その眺望だけで来た甲斐がある。
境内の茶屋で食べた「霧島そば」は650円。
観光地価格じゃない素朴な味で、少し安心した。
朝9時前に着くと、人が少ない。
神社は静かなうちに歩くに限る。
都城市総合文化ホール|地方都市に、こんな空間があった
失礼ながら、期待していない。
「地方のホール」という先入観があった。
入った瞬間、それが崩れた。
設計は建築家・時松辰夫。
木をふんだんに使った内装が、音を柔らかく包む。
大ホールは1,800席。
九州でもトップクラスの音響設備を持つという。
ロビーから見える霧島連山のパノラマが、別料金なしに広がる。
これが無料で見られるとは。
展示スペースでは地元作家の作品が並んでいた。
観覧料は無料だ。
平日の午前中に訪れると、地元の老夫婦がゆっくり鑑賞している。
その光景が、妙に良かった。
都城の人が、日常として使っている場所。
そういう空間に入れてもらった感じがした。
梅北平野|地平線に近い景色が、宮崎にあった
都城盆地を南へ走ると、急に視界が開ける。
梅北平野。
360度、山に囲まれた大きな農業地帯だ。
標高は約200メートル。
盆地特有の、抜けるような空が広がる。
春(3月下旬〜4月上旬)には菜の花が咲く。
黄色い絨毯と、残雪の霧島が重なる。
写真を撮ろうとして、しばらく動けない。
夏は一面の水田が風に揺れる。
農道を走っていると、直売所が点在している。
地元のトマトが1袋150円。
東京で買う値段の3分の1以下だ。
夕方に来ると、西の山に日が沈む直前、空がオレンジ色に染まる。
それを見ながら、路肩に車を停めた。
誰もいない。
旅の中で、これが一番贅沢な時間だっただ。