高知の海沿いをひたすら西へ走る。 どこかで曲がる必要がある、と思い始めた頃に着く。 そこが中土佐、久礼。 漁師町の朝は早い。 市場の軒先でカツオを頬張る。 醤油も薬味もいらない。 そういう場所が、まだ日本にある。
中土佐のおすすめスポット
久礼大正市場|朝8時、カツオが裸で並んでいる
市場、と聞いてイメージするものとは少し違う。
アーケードの下に、10軒ほどの店が並ぶだけ。
観光客向けの演出は何もない。
地元のおばちゃんが、普通に魚を売っている。
カツオの一本釣りで有名な久礼。
水揚げされたばかりのカツオは、身の色が違う。
赤というより、深い紅色。
切り身を1切れ200円で買って、その場で食べた。
塩だけで出てきた。
それで十分だ。
むしろそれしかいらない。
朝9時を過ぎると、いい魚からなくなっていく。
8時台に着くのが正解。
お土産に塩カツオを買った。
1本1,500円くらい。
帰ってからも、あの味のことを考えた。
久礼八幡宮|急な石段の先に、海が見える
市場から歩いて5分もかからない。
でも観光で来る人は少ない印象だ。
石段が急だ。
数えたら70段以上あった。
息を切らして上りきると、鳥居の向こうに海が広がった。
太平洋がそこにあった。
防波堤も高層ビルも何もない。
水平線がまっすぐ続いている。
ここは漁師の町の神社だから、海の神様を祀っている。
カツオ漁の安全を祈って、地元の人たちが昔から通ってきた場所。
そういう話を、境内で会ったおじさんが教えてくれた。
観光スポットというより、生活の中の神社。
それが逆によかった。
夕方、また来た。
夕日が海に落ちていくのを、石段の途中で見た。
30分くらいそこにいた。
仁淀川|透明すぎて、底まで見える
中土佐から車で北へ40分ほど走ると、仁淀川にたどり着く。
「仁淀ブルー」という言葉は知っている。
正直、少し大げさだ。
着いた瞬間、そういう考えは消えた。
水の色が、青というより光だ。
透明度が高すぎて、川の底の石まで全部見える。
深さ2メートル以上あるのに。
名越屋沈下橋という橋の上で、しばらく動けない。
橋の幅は車1台分しかない。
欄干もない。
川が増水すると沈む設計だから、沈下橋という。
観光客は数人いたが、みんな静かだ。
誰も大声を出さない。
そういう空気にさせる川だ。
夏に来ると、川遊びができる。
でも秋の仁淀川も悪くない。
色がより深くなる気がした。