愛媛の東端、新居浜には独特の空気がある。 銅山で栄えた街の記憶が、今もそこここに染み込んでいる。 派手さはない。 でも、掘れば掘るほど出てくるものがある街だ。 そういう旅が、たまらなく好きだ。
新居浜のおすすめスポット
別子銅山記念館|330年分の重さが、静かにのしかかってくる
入館料は無料だ。
そのせいか、最初は軽い気持ちで入った。
甘かった。
江戸時代から昭和まで、330年にわたって掘り続けた銅山の記録が、ずらりと並んでいる。
採掘量、労働者数、事故の記録。
数字が淡々と刻まれている分、重い。
展示の中に、かつての坑道内の写真があった。
ランプ一つで暗闇を歩く作業員の姿。
今の自分の快適な暮らしの、どこかにこの人たちがいる。
そう思ったら、なかなか足が動かない。
建物は住友グループの屋敷跡に建てられている。
庭も残っていて、春は梅が咲く。
展示室は思ったより広く、1時間では足りない。
閉館は17時。
午後に入ると時間が足りなくなるので、午前中に行くのがいい。
マイントピア別子|本物の坑道に入った瞬間、気温が変わった
「観光坑道」という言葉に、少し身構えている。
どうせテーマパーク的な演出だろう、と。
全然違った。
坑道内に入った瞬間、空気がひんやりと変わる。
夏でも15℃前後。
Tシャツ一枚では寒い。
受付でそう言われたとき、「それ本当ですか」と聞き返した。
本当だ。
通路の壁には実際に削られた岩肌が残っている。
ツルハシの跡も、そのまま。
これが江戸時代に人の手で掘られたと思うと、言葉が出ない。
坑道見学ゾーンを抜けると、温泉施設や飲食店が並ぶエリアに出る。
落差がすごい。
でもそのギャップも含めて、ここの正直さだ。
入坑料金は大人1,100円。
思ったより安かった。
トロッコに乗るコースと徒歩コースがあり、徒歩コースの方が坑道をじっくり見られる。
新居浜太鼓祭り|これは祭りじゃない、もはや戦いだ
10月の中旬、新居浜は別の顔になる。
太鼓台と呼ばれる山車は、高さ5.7メートル、重さ約3トン。
それを男たちが担ぐ。
数十人が一塊になって、轟音を上げながら動く。
初めて見たとき、正直怖かった。
「かきくらべ」という、複数の太鼓台が正面から向き合う場面がある。
近くで見ていると、地面が揺れる感覚がある。
気のせいではない。
祭りは4日間、10月16〜18日前後に行われることが多い。
市内のあちこちで太鼓台が動くので、スケジュールを事前に調べておく必要がある。
一番の見どころは「統一かきくらべ」だが、場所取りは早め必須。
午後から人が急増する。
太鼓台は全部で16台。
その全台が並ぶ光景は、一度見たら忘れられない。
新居浜に来るなら、できれば祭りの時期に合わせてほしい。